1997 Fiscal Year Annual Research Report
負イオンビームによる粉体微粒子への無帯電・無飛散イオン注入法の開発
Project/Area Number |
08555172
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
石川 順三 京都大学, 工学研究科, 教授 (80026278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 康仁 京都大学, 工学研究科, 助手 (00225666)
辻 博司 京都大学, 工学研究科, 助手 (20127103)
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Keywords | 負イオン注入 / 粉体 / 微粒子 / 無帯電 / 無飛散 / 攪拌 / 均一注入処理 / 球体に対する注入分布 |
Research Abstract |
1.振動による粉体粒子の攪拌方法に関して、各種粒径の球形微粒子粉体を攪拌するのに必要な振動周波数と振幅という振動条件を力のバランスから理論的に解析して求めた。また、振動子として、120Hzの電磁ベルや35kHzの超音波振動子、および数10Hz〜3kHz可変のスピーカーを用いて、5〜1000μmの球形シリカやソーダ石灰ガラス微粒子粉体の振動による攪拌実験を行い、理論の妥当性と実際の攪拌法を確立した。 2.振動攪拌装置として電磁ベルを装備した微粒子負イオン注入装置により、振動攪拌状態の5〜1000μmの球形シリカやソーダ石灰ガラス粉体に垂直上方向から銅負イオンを最大70keVのエネルギーで注入した結果、無飛散であることを確認した。 3.振動状態のソーダ石灰ガラス球形微粒子に銅負イオンを注入して、XPSにより表面近傍の注入銅原子を分析した結果、Cu/Na比が平均で0.23である時、注入のばらつきを表す標準偏差は0.011と小さく、一様な注入が全粒子表面に行われていることが判明し、振動中の負イオン注入では均一注入が可能であることを示した。 4.振動攪拌中の球体微粒子表面へイオン注入した場合の注入原子の深さ方向分布を理論的に解析し、一般式を導出した。球体では平板に比べて、注入分布のビ-クは0.6倍程度浅い深さに、広がりは1.2倍程度広くなることが判明した。また、振動状態で銅負イオン注入した605μmの粒子をSIMS分析して得られた銅原子の深さ分布は、理論予想と一致した。 結論として、絶縁物粉体微粒子への無帯電・無飛散かつ均一イオン注入法として、これが実施できる微粒子粉体負イオン注入装置を開発すると共に、粉体微粒子への負イオン注入技術を確立した。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Junzo Ishikawa: "Particle-Scattering Phenomenon of Powders Caused by Charging Voltage of the Surface during Ion Implantation" Ion Implantatin Technology-96. IEEE96TH8182. 249-252 (1997)
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[Publications] Hiroshi Tsuji: "Slightly Negative Surface Potential and Charging Model of Insulator in the Negative-Ion Implantation" Nuclear Instruments and Methods. B127/128. 278-281 (1997)
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[Publications] Junzo Ishikawa: "Study on Emission Yields of Negative-and Positive-Ion Induced Secodnday Electron from Thin SiO_2 Film" Nuclear Instruments and Methods. B127/128. 282-285 (1997)
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[Publications] Hiroshi Tsuji: "Secondary Electron Emission and Surface Potential of SiO_2-Film by Negative-Ion Bombardment" (to be published in Nuclear Instruments and Methods). (1998)
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[Publications] Jounzo Ishikawa: "Non-Scattering Technique of Ion Implantation into Powders of Micro-Beads by Using Negative Ions" (to be published in Surface Coatings and Technology). (1998)
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[Publications] 石川 順三: "負イオンの発見から現在の応用に至るまで" アイオニクス. 第23巻. 1-6 (1997)
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[Publications] 石川 順三: "無帯電負イオン注入技術と負イオン注入装置" アイオニクス. 第23巻. 85-94 (1997)
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[Publications] 石川 順三: "イオンビームの工業応用における親展開" 第8回粒子線の先端的応用技術に関するシンポジウム論文集. BEAMS1997. 1-10 (1997)
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[Publications] 辻 博司: "振動状態における粉体の飛散開始帯電電圧と正イオンおよび負イオン注入実験" 第8回粒子線の先端的応用技術に関するシンポジウム論文集. BEAMS1997. 143-146 (1997)