1997 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界水中での水熱合成による蛍光体微粒子連続合成プロセスの開発
Project/Area Number |
08555184
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
新井 邦夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10005457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伯田 幸也 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30250707)
滝澤 博胤 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90226960)
阿尻 雅文 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60182995)
LEE Smith Ri 東北大学, 工学部, 助教授 (60261583)
猪股 宏 東北大学, 工学部, 教授 (10168479)
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Keywords | 蛍光体微粒子 / 超臨界水 / YAG:T6 / 水熱合成 / 発光特性 |
Research Abstract |
前年度の研究により、母体相であるYAGの単一相の高速合成条件がわかった。今年度は、YAG相に活性イオンとしてTbイオンを含有させ、生成粒子の性状(粒子サイズ、結晶構造、熱分析、Tb含有率(取り込み率)、蛍光特性)の評価を行った。 原料には、硝酸イットリウム、硝酸アルミニウムおよび塩化テリビウム混合水溶液を用いた。アルミニウムイオン濃度を0.05M、イットリウム+テリビウム濃度を0.03Mに固定し、Y:Tb=0.001〜0.05まで変化させた。反応温度385℃、圧力30Mpa、反応時間1秒とした。生成粒子のサイズは20〜50nmであり、粉末XRD解析から粒子はYAG相であった。また、回収液中の未反応Tbイオン濃度からTb取り込み率を評価した結果、原料のTb濃度によらず、いずれの場合でも90〜95%と高かった。また、TG分析結果から、400〜500℃にかけて約10%の重量減少がみられた。その温度域から、粒子内に結晶化していないYOOHまたはAlOOHの形でOH基が残っていることが推察できた。合成した粒子の励起、発光スペクトル測定を行い、従来法(固相法)で合成した粒子との比較を行った。励起および発光スペクトルともに両者ともYAG母体結晶の吸収およびTbイオンの発光に帰依するものであったが、その発光強度は、本手法で合成した粒子のものは、固相法のものの約10%であった。これは、粒子内に残存したOH基のため、吸収されたエネルギーがTbイオンへの伝播されず、結晶内で消費されてしまったものと推察している。これは、反応速度または反応時間の増加させることで結晶性および発光特性を改善できると考えている。以上の結果から、超臨界水中での反応晶析法が、蛍光体微粒子の連続合成法として有効であり、プロセス化への高い可能性が示された。
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