1996 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー移動を利用した発光波長変換法によるホモジニアス免疫診断システムの開発
Project/Area Number |
08555199
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Section | 試験 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長棟 輝行 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20124373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多山 篤 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (70270882)
上田 宏 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (60232758)
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Keywords | ホモジニアス免疫測定法 / 共鳴エネルギー移動 / 発光波長変換 / キメラ酵素 |
Research Abstract |
本研究では、サンプル液に2次抗体とキメラ発光酵素さらに発光基質を添加し混合するだけで短時間に抗原濃度が測定できる、いわゆるホモジニアス免疫測定法を開発することを最終目標として、エネルギー移動を利用した発光波長変換によるホモジニアス免疫測定法の原理実証を行った。すなわち、抗体のFc部位に対する結合活性と発光活性を有するキメラ発光酵素で標識された2次抗体が、抗原-抗体反応により抗原を介して固定化不溶抗体(1次抗体)のごく近傍に固定化される。その結果、キメラ発光酵素と不溶抗体も互いに接近する。この抗原-抗体反応による複合体形成に伴うキメラ酵素と不溶抗体の距離の変化を、数nm程度の距離の変化を感度良く反映する励起エネルギー移動現象を利用して検出しようというものである。 予め蛍光標識した不溶抗体のFc部位にキメラ発光酵素を直接結合させた場合には、蛍光性分子との距離が数nm以下となり、発光酵素から蛍光性分子への励起エネルギー移動が生じた。その結果、発光酵素固有の発光波長450nmから蛍光性分子固有の発光波長520nmへの発光波長の変換が観察された。また、蛍光標識化不溶抗体の濃度の増加に従い、不溶抗体に結合するキメラ発光酵素量が増加し、その結果として蛍光性分子に対する励起エネルギー移動量も増加し、蛍光性分子固有の発光強度も不溶抗体濃度依存的に増加した。このように、発光酵素から蛍光性分子への励起エネルギー移動と発光波長の変換が実証された。 さらに、多サンプル発光測定システムを用い、短波長カットフィルターを付けた場合と付けない場合の発光強度比から励起エネルギー移動の割合を定量的に測定できること、本方式を用いれば、96穴マイクロプレートを利用して多サンプルを短時間に同時に測定することが可能な迅速で、簡便な臨床検査用ホモジニアス免疫測定システムを構築できることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)