1996 Fiscal Year Annual Research Report
LB膜を用いたマルチチャンネル型オプティカルセンサによるイオンのパターン認識
Project/Area Number |
08555209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 試験 |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
下村 正嗣 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (10136525)
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Keywords | オプティカルセンサー / ポリイオンコンプレックス / LB膜 / 蛍光 / マルチチャンネル / イオンセンサー |
Research Abstract |
従来の化学センサーは測定対象への高度な選択性のために、ホストーゲスト化学に基づく厳密な分子設計が要求された。最近、多チャンネル型センサーを用いることで、各センサーの選択性は低くても出力信号のパターン認識をすることにより物質の識別をする味覚、嗅覚センサーの研究が数多く報告されている。我々はこれまでに、イオン取り込みに伴い膜電位変化が電位感受性色素の蛍光強度変化に変換されることに着目し、バリノマイシンを用いたLangmuir-Blodgett膜によるカリウムイオンのオプティカルセンシングの可能性を探ってきた。本年度の研究では、種々の無機イオンを蛍光強度変化のパターン認識によって識別する多チャンネル型オプティカルセンサーの作製を目的として、電位感受性色素を含む二分子膜と、ポリイオンコンプレックス法で作製したLB膜の蛍光応答に対する種々の無機イオン添加効果を検討した。二分子膜水溶液の場合、膜分子の化学構造や添加するイオンの種類によって様々な蛍光応答を示す。ジアルキルアンモニウム塩をマトリックス膜とした場合、液晶状態の膜ほど大きな蛍光強度変化が得られた。ヨウ素イオンに対しては多くの膜で重原子効果によるものと考えられる消光が見られ、一方、フッ素イオンに対してはほとんど応答を示さなかった。ビオロゲン基を親水基とする一本鎖型二分子膜では、炭酸イオンに対して特異的な蛍光強度の増大が見られた。LB膜の蛍光応答にも膜の化学構造の効果がみられ膨張膜ほど応答しやすいこと、ヨウ素イオンは消光的に作用すること、高分子の構造により同一イオンに対しても応答性がことなること、などが見いだされた。以上の実験結果は、蛍光変化を支配する様々な要因によって蛍光膜電位膜変化だけでないことを示すとともに、高分子との組み合わせをかえることで多チャンネル型センサーの設計が可能であることを意味している。
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[Publications] M. Shimomura 他: "Chiral Crystal Formation of Octadecylcytosine Monolayer by Complementary Base-pairung" Thin Solid Films. 284/285. 691-693 (1996)
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[Publications] K. Ijiro, M. Shimomura 他: "DNA Monolayers Complexed with Amphiphilic Intercalator at the Air-Water Interface" Thin Solid Films. 284/285. 780-783 (1996)
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[Publications] M. Shimomura 他: "Tailoring of Stackedπ-Electron Arrays from Electron-and/or Energy Donor-Acceptor Molecules Based on Two-Dimensional Supramolecular Assemblies." Synthetic Metals. 81. 251-257 (1996)
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[Publications] M. Shimomura 他: "Construction of Orientedπ-Electron Arrays Based on Two-Dimensional Supramolecular Organizates" Supramolecular Science. 3. 61-65 (1996)
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[Publications] O. Karthaus, M. Shimomura: "Reversible Photomorphism in Surface Monolayers" Journal of American Chemical Society. 118. 9174-9175 (1996)
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[Publications] 下村正嗣、居城邦治: "単分子膜による分子認識とオプティカルセンシング" 蛋白質核酸酵素. 41. 83-88 (1996)