1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08555221
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中井 武 東京工業大学, 工学部, 教授 (90016717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友岡 克彦 東京工業大学, 工学部, 助教授 (70207629)
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Keywords | エナンチオ制御 / 不斉配位剤 / カルボアニオン反応 / カルボアニオン環化反応 / [2,3]-Wittig転位 / [1,2]-Wittig転位 |
Research Abstract |
本研究の目的は、″エナンチオ制御型不斉C-C結合生成反応″の開発を目指し、カルボアニオン反応のエナンチオ制御をキラル配位剤により行おうとするものである。 本研究の成功の鍵は、個々のカルボアニオン反応に最適なキラル配位剤の選択に基づく反応系の設計である。既に、前年度においてアルキルカ-バメートやベンジルエーテルの不斉S_E2反応に関して、それぞれ(-)-スパルテイン、もしくは光学活性ビスオキサゾリンをキラル配位剤として用いれば高エナンチオ選択的に生成物が得られることを見出している。 そこで本年度は、カルボアニオン環化反応、[2,3]-Wittig転位、および[1,2]-Wittig転位を対象として選び、種々の不斉配位剤共存下での反応を行い、エナンチオ選択性について精査した。その結果、3‐ブテニルエーテル系のカルボアニオン環化については(-)-スパルテインとS‐BuLiを組合せ用いることにより完璧なエナンチオ制御を達成できることを見出した。一方、[2,3]-Wittig転位や[1,2]-Wittig転位に関しては、(-)-スパルテインでは低いエナンチオ選択性しか得られなかったが、(s)-バリノール由来の光学活性ビスオキサゾリンとs-もしくはt-BuLiを組合せ用いた場合に最高のエナンチオ選択性が発現することがわかった。 本研究の成果が意味するところは、既存のカルボアニオン型炭素-炭素結合生成反応に不斉配位剤を加えるのみで光学活性な反応生成物を簡便に得ることができ、また、用いたキラル配位剤は回収、再利用することができることから「効率的なキラルテクノロジー」を開発したことになり、早期に実用化が可能となると考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 中井 武 他2名: "Witting Rearrangement of α-(Propargyloxy)-alkyllithiums : Periselectivity and Steric Course at the Lithium-bearing Terminus" Synlett. 1045-1049 (1997)
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[Publications] 中井 武 他2名: "Cyclization of Enantio-Enriched α-(Homoallyloxy)Alkyllithiums : Evidence for Retention of Configuration at The Carbanion Center" Tetrahedron Lett.38. 8939-8942 (1997)