1997 Fiscal Year Annual Research Report
リサイクラブルポリマーの設計-触媒分散型発砲ポリスチレンの試作
Project/Area Number |
08555256
|
Research Institution | Faculty of Engineering, Shizuoka University |
Principal Investigator |
上野 晃史 静岡大学, 工学部, 教授 (30135420)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 光範 古川電工(株), 横浜研究所, 主任研究員
黒柳 卓 電線総合技術センター, 技師(研究職)
東 直人 静岡大学, 地域共同研究センター, 助教授 (50192464)
盛岡 良雄 広島県立大学, 経営学部, 教授 (70022241)
|
Keywords | 廃棄プラスチック / リサイクル / 化学原料回収 / 熱分解油化 / ポリスチレン / 発泡ポリスチレン / 固体塩基触媒 / 酸化バリウム |
Research Abstract |
ポリスチレンペレット100gと酸化バリウム粉末1gを混合し、加熱型双ロールにより触媒分散型ポリスチレンフィルムを作製した。酸化バリウムは塩基性を示す固体粉末で、ポリスチレン廃棄物を分解してスチレンモノマーやダイマーを再生するのに有効な触媒である。したがって、酸化バリウム触媒を分散したポリスチレンフィルムは、廃棄に際してはただ単に加熱分解するだけでもとのスチレンが回収できるように設計されているリサイクル性プラスチックである。今回は、この触媒分散型ポリスチレンフィルムを発泡し、触媒分散型発泡ポリスチレンの試作を目的とした。発泡化にあたってはオートクレーブ中で触媒分散型ポリスチレンフィルムに窒素ガスを吸収させ、これを110℃に加熱して窒素ガスを急激に放出させる方法を用いた。これにより厚さが5倍程度に増大した触媒分散型発泡ポリスチレンを作製できた。この発泡体を400℃で加熱することにより、その85%以上がスチレンモノマーおよびダイマーとして回収することができた。また、窒素ガスの変わりに炭酸ガスを用いて発泡すると酸化バリウムが炭酸バリウムに変質し、塩基性が損なわれるためポリスチレンの分解特性が著しく低下することを確認した。 市販の発泡ポリスチレンは発泡を均一に行うため、少量の炭酸カルシウム粉末を分散してあるが、今回の酸化バリウム粉末も均一発泡の核材としての機能も十分に果たしていた。すなわち、酸化バリウム粉末は発泡時には均一発泡核材として、また廃棄時にはスチレンモノマーやダイマーを回収するための触媒として作用することが判明した。
|
-
[Publications] T.Hirose, A.UAeno, et al.: "Polystyrene foams with dispersed catalyst for a design of recyclable plastics" Jaournal of Materials Research. 13・1. 77-80 (1998)
-
[Publications] Z.Zhibo, A.Ueno, et al.: "Thermal and chemical recycle of waste polymers" Catalysis Today. 29. 303-308 (1996)
-
[Publications] Z.Zhang, A.Ueno, et al.: "Chemical recycling of waste polystyrene into styrene on solid acids and bases" Industrial and Engineering Chemistry Research. 34・12. 4514-4519 (1995)
-
[Publications] 上野晃史: "リサイクル設計された発泡ポリスチレン" 燃料及燃焼. 63・11. 810-816 (1996)
-
[Publications] 上野晃史: "複合化ポリマーのリサイクル容易化" 機能材料. 16・1. 18-24 (1996)
-
[Publications] 張志波、上野晃史: "複合材料のリサイクル設計" 化学工業. 46・3. 193-198 (1995)
-
[Publications] 上野晃史(共著): "持続可能リサイクル設計入門" 化学工業日報(社), 208 (1995)