1997 Fiscal Year Annual Research Report
油-水-固体3相系の界面現象を利用した固体超微粒子の分離精製法の開発
Project/Area Number |
08555257
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
日下 英史 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (60234415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新苗 正和 京都大学, 工学研究科, 助手 (50228128)
福中 康博 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (60111936)
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Keywords | 液-液抽出 / 微粒子 / エマルション浮選 / カラム浮選 / 凝集・分散 / キレート試薬 / 油水分離 |
Research Abstract |
まず、ダイヤモンド製造工程から出される排水中の粒径100nm前後のダイヤモンド微粒子を化学的処理に依らないで迅速に濃縮することを目的に、油添加・無添加の浮選試験、カラム浮選試験並びに液-液抽出試験を行った。また、同微粒子の凝集挙動が本文離挙動に及ぼす影響を検討した。その結果、油を添加・無添加双方の系において従来型浮選機では同粒子の濃縮が不可能であることを確認した。また、微粒子分離用に製作したカラム型分離装置を用いてダイヤモンド微粒子のカラム浮選試験並びに液-液抽出試験を行った結果、浮上産物への濃縮率はある捕収剤濃度領域で極大となり、この効果は油添加により著しく向上することが確かめられた。更に、濃縮挙動はダイヤモンド微粒子凝集現象と密接に関与していることを指摘した。 つぎに、各種キレート試薬を添加した油相を用いた液-液抽出による酸化第二鉄並びにアルミナ両微粒子の液-液抽出回収試験を行った。また、各キレート試薬の吸着挙動を油添加・無添加の系で調査した。その結果、各微粒子の分配挙動は、キレート試薬吸着量が増大するpH領域で増大していることを認め、これら吸着挙動は、各キレート試薬の油-水2相間分配を考慮した表面錯体形成反応モデルにより考察可能であることを指摘した。 最後に、微粒子分離後の用水中に残留した油分を固体粒子により吸着除去することを目的とし、数ppm程度のイソオクタンを疎水性鉱物の代表である滑石を用いて除去することを試み、希薄懸濁液中の滑石微粒子の油-水系での分配挙動と比較検討を行った。滑石微粒子は、油滴、滑石粒子の表面電位とは無関係に全pH領域においてほぼ100%油-水界面に濃縮され、滑石表面は強い親油性を示すことが確かめられた。しかしながら、希薄乳濁液中からの油分除去試験においては、pHがアルカリ性になるに従って除去率が著しく低下することが認められた。油滴及び滑石粒子の界面動電位を測定したところ、油滴及び滑石の表面電位はpHが増加するに従い大きく負に荷電することが認められた。以上の結果より、アルカリ性pH領域における除去率の低下は油滴と滑石粒子の静電斥力の増大によるものであることが考察された。
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[Publications] 入谷晃弘・日下英史・福中康博: "油-水系を利用した希薄懸濁液中のダイヤモンド微粒子の濃縮に関する基礎的研究" 資源・素材'97(札幌)企画発表・一般発表(C)資料. 159-159 (1997)
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[Publications] 前川幸司・日下英史・福中康博: "油溶性キレート試薬を用いた金属酸化物微粒子の液-液抽出" 資源・素材学会平成10年度春季大会. (発表予定). (1998)
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[Publications] E.Kusaka, N.Amano and Y.Nakahiro: "Effect of hydrolysed aluminum (III) and chromium (III) cations on the lipophilicity of talc" International Journal of Mineral Processing. 50巻・4号. 243-253 (1997)
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[Publications] E.Kusaka, Y.Kamata and Y.Nakahiro: "Effect of hydrolysed metal cations on the liquid-liquid extraction of silica fines with cetyltrimethylammonium chloride" Colloids and Surfaces A : Physicochemical and Engineering Aspects. (in press). (1998)