1997 Fiscal Year Annual Research Report
土壌ガス法に基づく浅熱水性資源の評価システムの構築
Project/Area Number |
08555259
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大見 美智人 熊本大学, 工学部, 教授 (30040405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 克明 熊本大学, 工学部, 助教授 (80205294)
尾原 祐三 熊本大学, 工学部, 教授 (50135315)
金子 勝比古 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20128268)
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Keywords | ラドン / α粒子 / 土壌ガス / シンチレーションカウンター法 / 温泉 / 火山活動 / 熱水 / 断層 |
Research Abstract |
土壌ガスに含まれるラドン濃度の時間的・空間的変動に基づき,地下浅部に胚胎している熱水の状態を推定するためのシステムを構築した。本研究の成果は以下のようにまとめられる。 (1)阿蘇山火口西側で南北方向の断層上に位置すると考えられ,噴気を伴う3つの温泉地区に深さ1mの観測孔を設け,シンチレーションカウンター法によって^<220>Rnと^<222>Rnの壊変に伴うα粒子数を測定した。これに研究代表者らが考案したラドン原子数算定理論を適用し,半減期の長い^<222>Rnの原子数とラドンガスの年齢を求めたところ,それらの時間的変動は火山性地震の活動と関連していることが明らかになった。 (2)地表面の分解能が高いSPOT Panchromatic画像を用いて,対象温泉地区周辺のリニアメントを詳細に抽出した。これに数値地形モデルを重ね合わせることで,熱水の通路となり得る断層は斜面と逆方向に傾き,その傾斜角度は80°であると推定できた。 (3)断層を組み込んだ地質構造モデルを用いて熱水流動の3次元数値シミュレーションを行い,深部熱水状態の擾乱に伴う地表面下浅部の温度と圧力の変化を算定したところ,熱水の対流が大きい地点ほどそれらの物性値の変化が大きく,ラドン濃度が著しく変化することが推定できた。すなわち,火山性地震とラドン濃度の変動とが密接に関連する地点ほど地熱ポテンシャルが高いといえる。 このように浅熱水性資源を評価するには,衛星画像と数値地形モデルとの組み合わせから地下断裂系の分布形態を推定し,ラドン濃度の時間的変動に特徴がある地点を見出し,さらにこの変動と断層の形状に調和するような熱水流動の数値シミュレーションを行うことが必要である。
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[Publications] 辜彬, 小池克明, 大見美智人: "空間的分布則を考慮したニューラルネットワークによるランダム配置データの補間" 情報地質. 8巻4号. 269-279 (1997)
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[Publications] 小池克明, 永野修一, 川場浩二: "Construction and Analysis of Interpreted Fracture Planes through Combination of Satellite-Image Derived Lineaments and DEM data" Computers & Geosciences. 24巻(印刷中). (1998)
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[Publications] 小池克明, 金子勝比古: "Characterization and Modeling of Fractures′ Distribution Using Fractal Theory" Geothermal Science & Technology. 7巻(印刷中). (1998)
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[Publications] 小池克明: "噴気帯と活断層帯におけるラドン濃度の時間的・空間的変動の特徴" 佐々宏一教授記念論文集. 221-230 (1997)
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[Publications] 小池克明, 吉永徹, 大見美智人: "衛星画像解析と物理探査による九州中部の断裂系の特徴抽出" 資源・素材学会九州支部秋季例会講演要旨集. 10-12 (1997)
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[Publications] 冨田諭, 吉永徹, 小池克明: "噴気帯におけるガスと湧水中のラドン濃度の解析" 資源・素材学会1998年春季大会講演要旨集. 印刷中 (1998)