1996 Fiscal Year Annual Research Report
食品起源の生理活性脂質を対象とした超臨界分離濃縮技術の開発
Project/Area Number |
08556019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 厚三 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50011036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥潟 康雄 (株)前田先端技術研究所, 取締役, 部長
崎山 高明 岡山大学, 工学部, 講師 (70170628)
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Keywords | supercritical carbon dioxide / membrane separation / silica membrane / zeolite membrane |
Research Abstract |
中鎖飽和脂肪酸は、吸収および代謝速度が速くまた血中コレステロールおよび中性脂肪レベルを上昇させないため、優れた経口栄養剤として利用されているが、近年小腸上皮細胞のタイトジャンクションを開ける働きがあることが明らかにされ、共存する食品成分の吸収を促進する効果が注目されている。本研究では、中鎖飽和脂肪酸としてオクタン酸を選び超臨界二酸化炭素中での膜分離濃縮法について検討した。超臨界二酸化炭素中において分子量200程度の溶質を充分阻止しうる膜は未だに得られていないため、ゾル-ゲル法により多孔性シリカ薄膜(平均細孔径3.3nm)を作製した。これを、超臨界二酸化炭素中での膜分離に用いたところ、カフェインについては高い阻止率が得られたもののオクタン酸については阻止率が負という結果となった。シリカとの相互作用ポテンシャルの観点から溶質の透過牲について検討した結果、分子力場法により得られた相互作用ポテンシャルから吸着量が大きく脱着速度が遅いと考えられたカフェインの場合には、阻止率が正となり、溶質が細孔内に吸着して細孔を閉塞させた結果分子ふるい効果が現れたものと考えられた。吸着量が大きく脱着速度の速いオクタン酸の場合には細孔内に吸着・充填した溶質が溶媒の流れにより透過側に押し出されたため阻止率が負となった、と考えられた。次に、パ-ベ-パレーションで応用が検討されているゼオライト膜を用いて超臨界二酸化炭素からカフェインの分離を試みた。Dubinin-Astakhov解析からナノメーター以下の細孔を有すると推定されたY型ゼオライト膜を用いた場合、オクタン酸、カフェイン共高い阻止率が得られ、ゼオライト膜が超臨界二酸化炭素中での膜分離濃縮に有効であることが示された。
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Research Products
(1 results)