1996 Fiscal Year Annual Research Report
丸太など心待ち大断面材乾燥への高周波加熱減圧法適用システムの開発的研究
Project/Area Number |
08556029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Section | 試験 |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
又木 義博 九州大学, 農学部, 教授 (50038212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 登留 九州大学, 農学部, 助手 (80238617)
谷口 義昭 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (50240859)
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Keywords | 高周波加熱減圧法 / 蒸気式乾燥 / 乾燥応力 / スギ丸太 / 心待ち大断面材 / 表面割れ |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に示した、高周波加熱減圧法を前段乾燥へ適用する手法について主に検討を行った。本研究テーマである心待ち材の乾燥は、横断面内の収縮異方性のため表面割れが発生しやすい。高周波加熱減圧法は内部加熱方式であるため、内層部で低い含水率傾斜を保ちながら、表面割れを起こさずに短時間で繊維飽和点以下にまで乾燥を進めることができる。しかし、表層の圧縮セットのため、乾燥後の含水率傾斜が無くなる段階で大きな割れが生じる。この乾燥後の割れを抑えるため、本研究ではスギ剥皮丸太について、蒸気式乾燥装置で比較的短時間(12〜144時間)の高湿条件(温度50℃および80℃、平衡含水率10.5%)処理を乾燥後半に施す併用乾燥を試みた。その結果、高周波加熱減圧法(材温55℃、減圧度40torr)による前段においては割れは全く見られないものの、後段においては50℃で割れが発生して、室内放置段階でさらに割れ幅が広がる。一方、後段の乾燥温度が80℃の場合、乾燥中の割れは発生しないものの、室内放置段階において前段終了時の含水率が56%および16%の場合割れが発生し、20%台の場合割れは発生しない。 割れの原因となる丸太外周部の接線方向応力は、前段では圧縮応力を示すが、20%台以下で前段を仕上げると、後段でほとんど引張応力を示す。その引張応力は、50℃では増加傾向を示すが、80℃では明確な傾向は見られない。以上の様な点を考察すると次の通りである。(1)前段で含水率を20%台まで処理すると、後段の80℃での処理において、表層が乾燥して引張応力に転じ、引張セットを形成する。(2)その引張セットは、前段の圧縮セットより大きく、これにより乾燥後の割れが抑制されると考えられる。(3)80℃では、大きなメカノソ-プティブ変形により、後段での引張応力の増加が抑えられ割れに至らないものと考えられる。
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