1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08556053
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Section | 試験 |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
金川 弘司 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (00111162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 正実 斜里町知床自然センター, 管理事務所, 研究員
間野 勉 北海道環境科学研究センター, 研究職員
菱沼 貢 鳥取大学, 農学部, 助教授 (30183578)
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Keywords | エゾヒグマ / 精液採取 / 精子の凍結保存 / 遺伝的変異 / マイクロサテライト |
Research Abstract |
1.エゾヒグマの精液採取、精子の凍結保存および胚の回収に関する成果 (1)のべ21頭の飼育個体において精液採取を試み、14頭から活性のある精液(平均生存率80.2%、平均精子活性指数51.99)の回収に成功した(シンポジウムにて発表、投稿準備中)。 (2)凍結保存精液についても融解後に活力のある精子が得られつつある。 2.遺伝的変異の検討に関する成果 (1)北海道環境科学研究センターにおいて、これまでに200個体以上についてDNAサンプル(肝臓あるいは脾臓)を回収することができた。 (2)ヒグマゲノムライブラリーを作製し、マイクロサテライト領域の検出を進めるとともに、別亜種に対して開発された、既存のマイクロサテライト領域に対するPCR用プライマーを用いて、多型の検出を試みた。その結果、数少ない個体を対象に行ったものではあるが、8セットのプライマーを用いて多型を検出ることに成功した。現在、北海道環境科学研究センターにおいて、収集したサンプルについての分析を実行中である。 また、個体レベルの変異の検出を利用して、知床半島において荒らされた番屋に残されたヒグマのものと思われる糞等のサンプルが、その付近で捕殺された個体のものかどうかといった分析試みている。 (3)遺伝子多型を評価する別の方法として、タンパク多型の変異を検索した結果、検索の対象とした遺伝子座において変異は検出されなかった(投稿発表済)。この結果は、現在進行中のマイクロサテライトによる分析結果に、有用な示唆を与えるものである。 以上の項目について研究を継続中であるが、1.の項目については現在凍結保存法の確立に取り組んでいる。2.の項目については多数のサンプルの分析を進め、実際の遺伝的変異の検索にはいると同時に、(2)で述べたような個体識別についても検討中である。
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[Publications] A. Ishikawa: "Attempts to collect and freeze the semen of the Hokkaido brown bear" Proceedings of satellite symposium in the 8th AAAP ; conservation biology in the 8th AAAP ; conservation biology for human and animal living. 1996. 27-28 (1996)
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[Publications] 間野勉: "生存個体の追跡によるクマ類の個体群解析の現状と課題" 哺乳類科学. 35(2). 180-182 (1996)
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[Publications] 釣賀一二三: "北海道のヒグマ(Ursus arctos yesoensis)におけるタンパク多型の欠如" 哺乳類科学. 36(1). 59-62 (1996)