1998 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子の導入と欠失による高血圧関連モデル動物の創作と解析
Project/Area Number |
08556055
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Research Institution | UNIVERSITY OF TSUKUBA |
Principal Investigator |
村上 和雄 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (70110517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 達次 (財)実験動物中央研究所, 所長 (10072399)
深水 昭吉 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (60199172)
宮崎 均 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (40183636)
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Keywords | つくば低血圧マウス / ノックアウトマウス / 海馬 / アンギオテンシンII / アンギオテンシンIV / 小脳 |
Research Abstract |
(1) 外来性遺伝子導入による「つくば低血圧マウス」の機能回復 レニン・アンギオテンシン系(RA系)の唯一の基質であるアンギオテンシノーゲン(Agt)遺伝子を欠損し、個体内にRA系が存在しないマウス「つくば低血圧マウス」においては、野性型マウスと比較し、著しい血圧の低下、離乳期までの生存率の減少、腎臓における組織障害の存在が観察される。これら異常所見が遺伝的に回復することが可能であるかを解析するため、マウスメタロチオネイン(MT)・プロモーターとマウスアンギオテンシノーゲンゲノムDNAとを連接させたMT-Agt融合遺伝子を構築し、さらにこの融合遺伝子が導入されたトランスジェニックマウス(MT-Agtマウス)を作製した。そして「つくば低血圧マウス」とMT-Agtマウス間との交配により、MT-Agt融合遺伝子を有する「つくば低血圧マウス」 (MT-Agt/KOマウス)を作出し、このマウスにおける表現形質を検討した。結果、 「つくば低血圧マウス」で見られた新生仔期の死亡、収縮期血圧、腎臓における組織障害、およびレニン遺伝子の発現増強が正常レベルまで回復していることが示された。 これらのことから、 「つくば低血圧マウス」で見られた異常所見は、MT-Agt融合遺伝子の導入により正常化し、発現解析および組織学的解析により、循環中のみならず局所におけるRA系もこの正常化に関与している可能性がある。 (2) 「つくば低血圧マウス」の新しい機能 つくば低血圧マウスの脳内組織について光学顕微鏡を用いて観察した。その結果、つくば低血圧マウスの海馬と小脳において顆粒層の細胞密度の顕著な減少を認めた。このことは「つくば低血圧マウス」がアポトーシスによる細胞死を受けやすいことを示唆している。この海馬の神経培養細胞にアンギオテンシンIIやアンギオテンシンIVを加えることにより、アポトーシスによる細胞死が妨げられることを見いだした。この反アポトーシス作用がアンギオテンシンII受容体のI型およびII型の阻害剤の添加によって影響を受けないことから、この作用はアンギオテンシンIVの受容体を介して行われているものと推定した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Tamura et al.: "A novel proximal element mediates the regulation of mouse Ren-1C promoter by retinoblastoma protein in cultured cells." J.Biol.Chem.272. 16845-16851 (1997)
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[Publications] Y.Kakinuma et al.: "Anti-apoptotic action of angiotensin fragments to neuronal cells from angiotensinogen knock-out mice." Neuroscience Letters. 232. 167-170 (1997)
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[Publications] Y.sumida et al.: "Increased cardiac angiotensin II receptors in angiotensinogen-deficient mice." Hypertension. 31. 45-49 (1998)
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[Publications] Y.kaminuma et al.: "Impaired blood-brain barrier function in angiotensinogen-deficient mice" Nature Mediciene. 4. 1076-1080 (1998)
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[Publications] J.Ishida et al.: "Rescue of angiotensinogen-knockout mice." Miochem.Biophys.Res.Commun.252. 610-616 (1998)