1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08557003
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Section | 試験 |
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
寺川 進 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 文部教官教授 (50014246)
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Keywords | エバネッセント光 / クロマフィン細胞 / エキソサイトーシス / 分泌顆粒 / キナクリン / レーザー |
Research Abstract |
本研究では一分子の蛍光をエバネッセント光によって捉える光学系を築き、分泌顆粒の開口放出に関連する分子を細胞膜上に可視化して、その挙動を観察する方法の開発を目的とする。それにより、分泌顆粒の開口放出の機構解明をめざすものである。 基礎実験として、通常の倒立蛍光顕微鏡とレーザー顕微鏡によって、クロマフィン細胞の顆粒にロードしたキナクリンの観察を行った。顆粒が明るく見え、エキソサイトーシスによってそれらが突然消失するのが観察できた。そこで次に、同じ顕微鏡の上で、プリズムの全反射界面に生ずるエバネッセント光を実現することをテストした。直角プリズムとロームプリズムにおいて、レーザー光を入射し全反射面にエバネッセント光を作り出すことに成功した。ここで、次のような問題点が明らかとなった。エバネッセント光の浸透は極めて確率的に起こり、光の滲み出しが、実際には100nm以上の距離になることが分かった。また、プリズムと細胞を培養したカバーガラスの間にオイルを入れて重ねる方法では、オイル自身の蛍光が高くなった。そこで、細胞を三角プリズムの表面に直接培養することについてテストした。3種類の形状のプリズムについて培養を実験したところ、コラーゲンコートをするとよい培養ができることがわかった。 可視化目標分子としてシナプトタグミンをCy3で蛍光標識し、クロマフィン細胞にガラス微小管によって注入することを試みた。現在のところ、ガラス微小ピペットによって細胞内に注入するところまで成功したが、ガラス微小ピペットを引き抜くときに細胞を傷めるという困難が生じ、最終的な観察に至っていない。最近、これに対して、細胞を加温することが有効であることがわかり、次年度に目標に達するめどが立ったところである。今後、蛍光コントラストの向上を目指した細かい改良を続け、実際に開口放出の観察を実現する。
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[Publications] Pozzi,G.: "Single-chain polyprenyl phosphates form "primitive" membranes" Angewande Chemie. 35. 177-180 (1996)
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[Publications] Igarashi,M.: "Growth cone collapse and inhibition of neurite growth by Botulinum neurotoxin C1." Journal of Cell Biology. 134. 205-215 (1996)
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[Publications] 寺川進: "神経細胞動態のビデオマイクロスコピー" 日本神経精神薬理学雑誌. 16. 59-64 (1996)
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[Publications] TERAKAWA,S.: "Dynamics of exocytotic release of catecholamine measured simultaneously by VEC-DIC microscopy and DC amperometry" Japanese Journal of Physiology. 46. S7- (1996)
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[Publications] 寺川進: "ビデオ強化顕微鏡-分解能の限界を超えて「バイオイメージング」" 共立出版(印刷中),