1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08557005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 試験 |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堀 信顕 九州大学, 歯学部, 助教授 (60037520)
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Keywords | 老人性痴呆 / 海馬切片 / 錐体細胞 / CA1 / NMDA / ATP / 脳血管障害 / 虚血 |
Research Abstract |
人間の平均寿命の延長に伴い、老人性痴呆が大きな社会的問題になっており現在この問題の解決の為に基礎、臨床を問わず広い分野にわたる多くの研究者が勢力的な研究を行っている。しかしこの発現機構については未だに明確な解答、薬理学的に効果ある処置は見出されていないのが現状である。本実験の基本方針とし痴呆症の発現は何等かの脳血管障害によって酸素、ブドウ糖を極度に要求する脳神経細胞に,これらの物質が一時的にでも供給の停止が神経細胞死に導かれる最初の侵襲であるとする仮説に基ずいて行なった。今回の実験は正常ラットから馬海長軸に垂直に厚さ400ミクロンの脳切片を作製して、2時間の前保生後、シャファーの側枝刺激に誘発される反応を記録しながら虚血様処置(95%窒素と5%炭酸ガス、ブド-糖欠如リンガー)を行なった。完全に反応が消失した後ルシファーイエロ-を細胞内に注入して、蛍光顕微鏡で観察した。結果。(1)CA1錐体細胞層から記録出来るシナプス電位は5分から7分内に消失し、その直後に、刺激に応じる一時的な跳ね返り反応が記録できた。(2)その後にルシファーイエロ-を注入して形態を観察すると樹状突起に水泡が観察された。この水泡形成は跳ね返り反応と関係が考えられる。(3)この水泡形成は10マイクロモルのNMDAでも観察され、虚血による水泡形成はNMDA拮抗薬、高Mgで抑制される。結論。虚血様処置によって細胞内のATPは枯渇して、エネルギー依存のポンプの機能が低下し、その結果多量の興奮性神経伝達物質が放出、膜電位依存性のNMDAの活性により細胞内にイオンの濃度は上昇し、浸透圧上昇によって水分の細胞内流入する。この膨潤によって膜の襞内の受容器の露出によって跳ね返り反応が発生しする。また細胞内のCaが異常に上昇して蛋白分解酵素を活性化して細胞内器官の分解が始まり、この現象が細胞死に繋がると考えられる。
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[Publications] Iwase T.,Hori,N.Morioka,T.and Carpenter,D.O.: "Low power laser irradiation reduces ischemic damage in hippocampal slices." Laser in Surgery and Medicine. 19(in press). (1996)