1998 Fiscal Year Annual Research Report
環状ADPリボース合成酵素遺伝子欠失による糖尿病モデルの開発
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08557009
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 一郎 東北大学, 医学部, 助手 (50250741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那谷 耕司 東北大学, 医学部, 助手 (90202233)
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Keywords | 環状ADPリボース / セカンドメッセンジャー / ノックアウトマウス / インスリン / カルシウムイオン / 膵β細胞 / 糖尿病 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
日本人において多く見られるII型糖尿病のモデル動物の確立は急務である。インスリン分泌のセカンドメッセンジャーである環状ADPリボースを合成する酵素のノックアウトマウスはII型糖尿病モデル動物に成り得ることが考えられるので、昨年度までにマウス環状ADPリボース合成酵素遺伝子(CD38)をノックアウトしたマウスを作製し、今年度はその解析を行い以下の実験結果を得た。 (1) RT-PCR法およびウェスタンブロット法にてノックアウトマウスの膵ランゲルハンス島ではCD38が完全に欠損していることを確認した。 (2) 膵ランゲルハンス島内環状.ADPリボース量をラジオイムノアッセイ法により測定したところ、ノックアウトマウスでは高濃度グルコース刺激時の環状ADPリボース量がコントロールマウスと比べて顕著に減少していた。 (3) 膵ラシゲルハンス島を分離して、グルコースによる細胞内Ca^<2+>濃度の変化を測定したところ、ノックアウトマウスでは高濃度グルコース刺激時の細胞内Ca^<2+>濃度上昇がコントロールマウスと比べて顕著に減少していた。 (4) 3mg/g体重グルコース負荷試験においてノックアウトマウスの血糖(30,60分値)は正常マウスに比して有意に上昇していた。この血糖値の上昇は膵β細胞でCD38を過剰発現するトランスジェニックマウスと交配したノックアウトマウスでは正常化した。 以上(1)-(4)の結果から、CD3S/サイクリックADPリボース情報伝達系による細胞内Ca^<2+>プールから動員されるCa^<2+>がグルコース刺激インスリシ分泌に必須の役割を担っていることが考えられた。 今年度の研究計画は順調に進行し、研究目標は当初の計画通りに達成された。
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Research Products
(21 results)
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[Publications] Shin Takasawa: "Cyclic ADP-ribose and inositol 1,4,5-trisphosphate as altemate second messengers for intracellular Ca^<2-> mobilization in normal and diabetic B-cells." Journal of Biological Chemistry. 273・5. 2497-2500 (1998)
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[Publications] Toshinari Takamura: "Transgenic mice overexpressing type 2 nitric oxide synthase in pancreatic B-cells develop insulin-dependent diabetes without insulitis." Journal of Biological Chemistry. 273・5. 2493-2496 (1998)
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[Publications] Ichiro Kato: "CD38 disruption impairs glucose-induced increases in cyclic ADP-ribose,[Ca^2]i,and insulin secretion." Journal of Biological Chemistry. 274・4. 1869-1872 (1999)
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[Publications] Fumiko Ikehata: "Autoantibodies against CD38(ADP-ribosyl cyclase/cyclic ADP-ribosehydrolase)that impair glucose-induced insulin secretion in noninsulin-dependent diabetes patients." Journal of Clinical Investigation. 102・2. 395-401 (1998)
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[Publications] Kazuo Yagui: "A missence mutation in the CD38 gene,a novel factor for insulin secretion: association with Type II diabetes mellitus in Japanese subjects and evidence of abnormal function when expressed in vitro." Diabetologia. 41・9. 1024-1028 (1998)
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[Publications] Shogen Isoyama: "Development of myocardial hypertrophy in CD38 knockout mouse." Circulation. 98. I-626-I-626 (1998)
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[Publications] Tetsuya Nakazawa: "IRF-1-deficient nonobese diabetic mice do not develop autoimmune diabetes." Diabetes. 47. 208A (1998)
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[Publications] 加藤一郎: "CD38/サイクリックADPリボース情報伝達系:CD38ノックアウトマウスを用いたインスリン分泌の解析" 生化学. 70・8. 931-931 (1998)
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[Publications] 加藤一郎: "CD38ノックアウトマウスの作製とその膵β細胞のグルコース刺激インスリン分泌の低下" 糖尿病. 41・Suppl.1. 136-136 (1998)
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[Publications] 中沢哲也: "IRF-1欠損NODマウスにおける膵島炎及び糖尿病発症の抑制" 糖尿病. 41・Suppl.1. 147-147 (1998)
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[Publications] 秋山貴子: "IL-6とDexamethasoneによる膵β細胞のReg I遺伝子の発現誘導" 糖尿病. 41・Suppl.1. 389-389 (1998)
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[Publications] 黒木実智雄: "膵ランゲルハンス島のリアノジン受容体型Ca^<2+>チャンネルcDNAの単離と構造決定" 糖尿病. 41・Suppl.1. 391-391 (1998)
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[Publications] 中沢哲也: "cyclic ADP-ribose結合蛋白質(FK506-binding protein)遺伝子の構造と染色体座位" 糖尿病. 41・Suppl.1. 434-434 (1998)
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[Publications] 阿部倫明: "新しいReg遺伝子(Reg IIIδ)の発見: その構造決定とマウスRegファミリーの遺伝子地図の作製" 糖尿病. 42(in press). (1999)
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[Publications] 海野倫明: "Reg遺伝子とその産物Reg蛋白質の構造と機能 -新しい糖尿病治療への展望を求めて-" 日本臨床. 55. 817-821 (1998)
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[Publications] 黒木実智雄: "膵ランゲルハンス島で発現している新しいリアノジン受容体型Ca^<2+>チャンネルcDNAの単離と構造決定" 生化学. 70・8. 778-778 (1998)
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[Publications] 阿部倫明: "新しいマウスReg遺伝子の単離とReg遺伝子ファミリーの遺伝子地図の作製" 生化学. 70・8. 811-811 (1998)
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[Publications] 熊谷智子: "膵β細胞の再生増殖因子:RegIトランスジェニック、ノックアウトマウスを用いた解析" 生化学. 70・8. 901-901 (1998)
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[Publications] 秋山貴子: "膵ランゲルハンス島β細胞増殖因子Reg Iの発現誘導機構" 生化学. 70・8. 901-901 (1998)
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[Publications] 高澤 伸: "糖尿病患者における抗REG I自己抗体の存在" 糖尿病. 42(in press). (1999)
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[Publications] 山本康彦: "ヒトRAGEをトランスジーンとしたマウスの糖尿病性腎病変" 糖尿病. 42(in press). (1999)