1997 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化研究のためのトランスジェニックウサギ・モデルの開発
Project/Area Number |
08557017
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渡邊 照男 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (40037396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨岡 健一 山之内製薬, 創薬研究本部・第2創薬研究所, 副所長
八神 健一 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (40166476)
下釜 達朗 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (50170999)
范 江霖 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (60272192)
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Keywords | 動脈硬化 / 冠状動脈硬化 / 危険因子 / リボ蛋白 / リボ蛋白(a) / アポ蛋白(a) / トランスジェニックウサギ |
Research Abstract |
リボ蛋白(a)[Lp(a)]は動脈硬化発症・進展の独立した危険因子として注目されているが、その存在は霊長類にしか確認されておらず、Lp(a)の機能及び動脈硬化発生における意義に関しては不明の点が多い。そこで、本研究ではヒトLp(a)の特異的構成蛋白であるアポ蛋白(a)を過剰発現するトランスジェニックウサギの開発を行った。ヒトアポ蛋白(a)cDNAを肝臓で発現するようにmouse transferrin promoterにligateし、トランスジェニックベクター(pTfHa17)をcloningした。卵胞刺激ホルモン注射によって100羽のドナーウサギから2838個の受精卵を採取し、それにpTfHa17をマイクロインジェクションした。マイクロインジェクションした1142個の受精卵を86羽の偽妊娠ウサギの卵管内に移植した。その結果、全部で96羽の仔ウサギが生まれた。そのうち、ヒトアポ蛋白(a)遺伝子が組み込まれていたトランスジェニックウサギは7羽で、全体の陽性率は7.3%であった。生後すぐに死亡した2羽を除いた5羽のうち1羽にアポ蛋白(a)の発現があったが、残りの4羽には発現は認められなかった。この1羽のトランスジェニックウサギの血漿リポ蛋白を超遠心法で分離し、SDS-PAGE並びにアガロースゲルで分析した後、さらにimmunoblotを行い、アポ蛋白の発現状況を検討した。血清のヒトアポ蛋白(a)の濃度は約0.5mg/dlで、アガロースゲル電気泳動ではヒトと同じくpre-βに位置し、ほとんどのアポ蛋白(a)はLDLと結合しており、Lp(a)を形成していると考えられた。以上の結果は、本研究が、ヒトLp(a)を発現するトランスジェニックウサギの開発に初めて成功したことを示している。現在、Lp(a)を高発現するfounderの作製を進めるとともに、トランスジェニックウサギのF_1を用いてホモ動物の作製やWHHLウサギとの交配を行っている。
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Research Products
(1 results)