1998 Fiscal Year Annual Research Report
高親和性可溶性TCRおよびMHC/ペプチド複合体による選択的免疫制御法の開発
Project/Area Number |
08557026
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笹月 健彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50014121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 宣規 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (60243961)
上川路 信彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (90224659)
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Keywords | 可溶性TCR / 可溶性MHC / ペプチド複合体 / ロイシンジッパー / 解離定数 / 親和性 |
Research Abstract |
従来、抗原特異的CD4陽性T細胞は、in vitroで抗原及び抗原提示細胞とサイトカインの存在下で培養することにより樹立されてきた。しかしながら、この方法では、その頻度を正確に評価することは困難であり、またサイトカインの影響によりT細胞の機能に偏りが生じる可能性がある。これらの問題を克服するため、可溶性四量体MHCクラス II/ペプチド複合体の開発を試みた。対象としたMHCクラスII分子であるI-A^b分子は、細胞外ドメインのみで発現させると十分量のへテロダイマーが回収できない。これは、1つにα鎖、β鎖の会合不全によると考えられる。そのため、それぞれのC端にロイシンジッパー構造のアミノ酸配列を導入し、また結合ペプチド(Eα)をI-Aβ鎖に共有結合させるという工夫を行った。さらに、一方のロイシンジッパー配列のC端にシステイン残基をコードするようにした。このコンストラクトをバキュロウィルスベクターを用いて昆虫細胞で発現、精製した後、遊離システインを特異的にビオチン化し、これをストレプトアビジンと架橋することで可溶性四量体MHCクラスII/ペプチド複合体を樹立した。この分子は抗原特異的CD4陽性T細胞株をフローサイトメトリーにて直接検出し得た。 さらに同様の方法を用いてI-A^b/Eαペプチド複合体を特異的に認識する可溶性T細胞受容体(N3-5LZ)を作成した。BIAcoreを用いたI-A^b/Eαペプチド複合体とN3-5LZの結合動態の解析において、ストレプトアビジンセンサーチップ上でビオチン化N3-5LZの四量体を形成させると、単量体を固相化した時に比べ著明な解離時間の延長を認め、その親和性は約300倍上昇した。 以上multivalent可溶性TCRおよびMHC/ペプチド複合体を樹立し、各々のリガンドを直接同定単離する方法論を確立した。この方法論は今後T細胞分化、自己免疫、移植免疫あるいは癌免疫といったさまざまな分野で応用可能であると考えられる。
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[Publications] Nishimura H.: "MHC class II-dependent NK1,1+γδ T cells are induc ed in mice by Salmonella infection." J.Immunol.(in press). (1999)
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[Publications] Gyotoku T.: "An endogenously processed self peptide and the corresponding exogenous peputide bound to the same MHC class II molecule could be distinct ligands for TCR with di fferent kinetic stability." Eur.J.Immunol.28. 4050-4061 (1998)
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[Publications] Fukui Y.: "Highly restricted T cell repertoire shaped by a single major histocompatibility complex-peptide ligand inthe presence of a single rearranged T cell receptor β chain." J.Exp.Med.188. 897-907 (1998)
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[Publications] Gapin L.: "Quantitaive analysis of the T-cell repertoire by a single peptide/MHC complex." J.Exp.Med.187. 1871-1883 (1998)