1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト頭部モデルを用いた脳損傷の生成機序の実験的解明
Project/Area Number |
08557035
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
藤原 敏 横浜市立大学, 医学部, 教授 (20173487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲村 啓二 横浜市立大学, 医学部, 助手 (60117736)
相原 弼徳 横浜市立大学, 医学部, 助手 (80046086)
小川 裕美 横浜市立大学, 医学部, 講師 (60295508)
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Keywords | Brain injuries / Biomechanics / 脳皮質挫傷 / DAI / 衝撃加速度 / 頭部模型 / Blow & Fall / 交通事故 |
Research Abstract |
l.打撲実験 [方法] 頭部模型の頭部を鉄製のハンマーにて打撃する実験を行った.ハンマーとしては,重量820gと1,480gの2種類を用い,いずれも振り子式に自然落下させて模型の後頭頭頂部を打撃した.ハンマーにロードワッシャを取り付けて衝撃力を,また頭部模型に取り付けた加速度センサーにより模型頭部の衝撃加速を測定した.さらに衝撃カおよび衝撃加速度の量大値および持続時間を計算した. [結果] (1)重量820gのハンマーによる打撲実験では,衝撃力の最大値は200kg,その持続時間は2,0msであった.また模型頭部の衝撃加速度の最大値は23g,その持続時間は2.0msであった. (2)重量1,480gのハンマーによる打撲実験では,衝撃力の量大値は206kg,その持続時間は2.6msであった.また模型頭部の衝撃加速度の最大植は25.4g,その持続時間は2.6msであった.打撃物体の重量が増加する程,模型頭部が受ける衝撃加速度の持続時間は長くなることがわかった. 2.実際の頭部外傷実験例における脳の神経病理学的検査 交通事故における頭部外傷剖検例の脳を10%ホルマリンにて固定後,前額断を施して所見を肉眼的に検査しさらに脳の各部(脳梁,脳幹部,頭頂葉白質など)から組織片を切り出して組織学的に詳細に検査した.頭部を車輌のフロントガラスによって打撃された4症例においては,DAI例が3例,DAIと脳挫傷との合併例が1例であり,脳挫傷例は認められなかった.頭部をボンネットによって打撃された1症例はDAI例であった.頭部をフェンダーによって打撃された1症例は脳挫傷とDAIの合併例であった.また,頭部ピラ-によって打撃された4症例においては,DAI例が2例,脳挫傷とDAIの合併例が1例,脳挫傷例が1例であった.フロントガラスやボンネットのような軟らかい物体によって頭部を打撃された場合にはDAIを,一方,ピラ-のような硬い物体によって頭部を打撃された場合には脳挫傷を生じることがわかった.
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Research Products
(1 results)