1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08557037
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
上阪 等 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (00251554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮坂 信之 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (30157622)
笹野 稔 参天製薬(株), 開発研究本部, 主任研究員
寺田 典生 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (30251531)
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Keywords | 慢性関節リウマチ / サイクリン依存性キナーゼ / p21 / p16 / アデノウィルス / 遺伝子療法 |
Research Abstract |
昨年度までの実験で、慢性関節リウマチ患者の手術時に得られた滑膜組織に有効に遺伝子を導入することが明らかとなったp16ないしp21組換えアデノウイルスを用いて、in vivoの遺伝子治療実験を行った。 まず、ラットに慢性関節リウマチのモデルであるアジュバント関節炎を起こさせて、片方の膝関節に1010pfu/ml組換えp16ウイルスを50μl注入し、他方の膝関節に対照として同量の組換えβガラクトシダーゼウイルスを注入した。この遺伝子治療を週1回、3週にわたって繰り返して、4週目に両膝関節を肉眼的および病理組織学的に検索して、p16遺伝子治療の効果を判定した。効果はマクロ所見でも明らかで、遺伝子治療を受けた膝の腫脹は著しく抑えられていた。組織学的にもHE染色で、滑膜の肥厚が減弱し、炎症性細胞浸潤が減り、かつ骨破壊が軽度となった。なお、関節機能に重要な軟骨器質も治療群では保たれていた。これらの効果は、慢性関節リウマチの治療として重要なもの全てを満たしていた。 ちなみに、βガラクトシダーゼウイルスを注入した関節で導入遺伝子の発現をみると、全ての滑膜表層細胞と一部の間質細胞にのみ発現が認めら、リンパ球系の細胞での発現は認められなかった。したがって、治療効果は、必ずしも遺伝子導入がなされた細胞のみにとどまらず、p16遺伝子発現が広く炎症メディエーターの発現を抑制した者と考えられた。 この結果は、慢性関節リウマチ滑膜において、遺伝子導入他の方法でp16遺伝子の発現を誘導することは極めて効果的な治療法となることを示している。
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Research Products
(2 results)