1997 Fiscal Year Annual Research Report
高次機能を持つ膵β細胞株の樹立とその機能を発現する遺伝子群解析システムの確立
Project/Area Number |
08557058
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
泉 哲郎 群馬大学, 生体調節研究所, 助教授 (00212952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 純 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (40270855)
竹内 利行 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (00109977)
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Keywords | 膵β細胞 / 膵α細胞 / ディファレンシャル・ディスプレイ法 / 遺伝子 |
Research Abstract |
膵β細胞とα細胞はともに膵ラ氏島に存在する内分泌細胞で発生学的に極めて近縁の細胞であるが、血糖レベルに対しては正反対に反応する。すなわち、それぞれ高血糖・低血糖に反応してインスリン・グルカゴンを分泌する。しかしその解剖学的位置、量的に些少なことなどから、そのモレキュラーレベルでの解析が困難である。そこでこれまで樹立されているトランスジェニックマウス由来の膵β細胞株βHCと膵α細胞株αTC6のRNAを用いてディファレンシャル・ディスプレイ法を行い、膵β細胞に特異的に発現する、血糖調節・ホルモン分泌に関わる高次機能遺伝子群の収集・解析を試みた。その結果、これまでβ細胞株により発現の強い、約40種類の遺伝子断片を単離し、部分塩基配列を決定した。単離した遺伝子断片のうち約半数の既知遺伝子の中には、インスリン、アミリン、IDDM自己抗原などのあらかじめ期待される遺伝子が含まれており、本アプローチの有効性が確かめられた。残りの半数の未知遺伝子のうち、発現の組織特異性の強いものを選び出し、全長cDNAのクローニングを行った。これまで、内分泌細胞に特異的と思われるRabphilin-3A様遺伝子、細胞間接着に関わると思われる糖蛋白をコードする遺伝子、ホルモンプロセッシングに関わると考えられるプロテアーゼ、三量体G結合蛋白にカップリングする受容体などの新規遺伝子のクローニングに成功した。現在、これらの遺伝子産物の機能解析を行っており、膵β細胞の高次機能との関わりを解析している。
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[Publications] T.Kayo et al.: "Proprotein-processing Endoprotease Furin Controls Growth of Pancreatic β Cells" Diabetes. 46. 1296-1304 (1997)
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[Publications] 泉 哲郎: "糖尿病成因遺伝子解明へ向けて" 最新医学. 52. 270-276 (1997)
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[Publications] 泉 哲郎: "(1997):病態モデル動物を用いたNIDDM遺伝子の解析" 内分泌・糖尿病科. 5. 352-358 (1997)
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[Publications] 泉 哲郎: "(1998):糖尿病遺伝子同定におけるQTLマッピング" 分子糖尿病学-基礎から臨床まで-1998(金原出版). (印刷中). (1998)