トランスジェニックブタを用いた糖尿病治療用インスリン分泌B細胞株の樹立

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08557071
• Research Institution: Kyoto University
• Principal Investigator: 井上 一知 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90168435)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 篠原 茂生 大塚製薬, 大津研究所, 主任研究員 ; 筏 義人 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (00025909) ; 宮崎 純一 大阪大学, 医学部, 教授 (10200156) ; 内海 恭三 京都大学, 農学部, 教授 (90033266) ; 今村 正之 京都大学, 医学研究科, 教授 (00108995)
• Keywords: MIN6細胞 / genomicDNAライブラリー / 成熟ブタ膵 / ラ島(ランゲルハンス島) / ハイブリッド型人工膵 / 異種移植 / 糖尿病モデル / 免疫隔離膜

Research Abstract

MIN6細胞より高分子量ゲノムDNAを抽出し、制限酵素による部分消化ののちサイズ分画を行って、コスミドベクター(super cos 1)によるgenomicDNAライブラリーの作成を試みた。またSV40-T抗原遺伝子を用いて、DIGラベリングシステム(random primer法)によるスクリーニングプローブ作成を試みた。しかし、MIN6細胞からのトランス遺伝子クローニングが遅延しているため、予定していたトランスジェニックブタの膵B細胞株を用いた実験の前検討として、成熟ブタ膵から膵ランゲルハンス島(以下ラ島)を分離し、ブタ膵分離ラ島に関する基礎的検討を行った。先ず、従来、ラ島分離が困難とされていた成熟ブタ膵から、大量のラ島を安定して分離しうる酵素消化液と、これを適用した「二段階酵素消化法」を独自に開発した。この結果、分離成功率が従来の10数%から80%、ラ島収率も3294±2063(IEQ/gr(膵))と飛躍的に向上した。さらに、トランスジェニックブタ膵B細胞株を異種移植実験に供するための準備的実験として、(1)大動物糖尿病レシピエントモデルの作成を行った。ビ-グル犬を用いて、従来の90%膵切除モデルとは異なる、慢性膵炎やnesidioblastosisなどのために膵全摘を余儀なくされた患者をも視野においた99%膵切除モデルを作成した。(2)ハイブリッド型人工膵の新たな異種移植用デヴアイスの開発を行った。(a)アルギン酸コーティングによる新たな超薄型マイクロカプセル、(b)ポリエチレンテレフタレートを基材とした、血管誘導性に富む免疫隔離バッグ型チャンバー、および(c)細胞外マトリックスを用いたバイオリアクター細胞の三次元培養下人工膵。このうち、(c)によるブタ→ラットの異種ラ島移植実験において3〜4週のラ島生着を得た。

Research Products

• [Publications] GuY.J, Inoue K., Miyamoto M.: "Improvement of adult porcine pancreatic islet isdation" Transplantation Proceedings. (in press).
• [Publications] Miyamoto M., Inoue K., GuY.J.: "Improved large-scale isolation of breeder porcine islets -possibility of harvesting from non-heart-beating donor-" Cell Transplantation. (in press).
• [Publications] Miyamoto M., Inoue K., Tun T.: "Effect of acidic oxidative potential water for microbial contaminations at the harvesting of porcine pancreas in islet transplant" Transplantation Proceedings. (in press).
• [Publications] Hayashi H., Inoue K., Shinohara S.: "New approach of tissue engineering for extended selective transplatation with pancreatic B cell line (MIN6)" Transplantation Proceedings. (in press).
• [Publications] Setoyama H., Inoue K., Iwata H.: "The potential of Anticonplement Synthetic Sulfonic Polymors for Xeno transplantation" Transplantation Proceedings. 30. 67-70 (1998)
• [Publications] Yamasaki T., Inoue K., Hayashi H.: "Effect of a new immunosuppressive agent FTY720 in survival of islet allapray" Cell Transplantation. (in press).
• [Publications] 瀬戸山博, 井上一知, 今村正之: "遺伝子医学「拒絶反応の分子生物学」" 株式会社 メディカル ドウ(4月出版予定), (1998)
• [Publications] 井上一知, 瀬戸山博, 今村正之: "臨床侵襲学 V侵襲と臓器不全,5臓器相関" 株式会社 へるす出版, 680 (1998)