1996 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍拒絶抗原(MAGE)による癌特異的免疫療法の開発
Project/Area Number |
08557074
|
Section | 試験 |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
秋吉 毅 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (70038660)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糠谷 育衛 宝酒造(株), バイオ研究所, 研究員
安本 雅純 宝酒造(株), バイオ研究所, 研究員
竹迫 一任 宝酒造(株), バイオ研究所, 副所長
馬場 欽也 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (30271117)
楠本 宏記 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (00195447)
|
Keywords | 腫瘍拒絶抗原 / MAGE / 特異的キラーT細胞 / 抗原ペプチド / ワクチン療法 |
Research Abstract |
主として消化器癌患者に対して,腫瘍拒絶抗原、特にMAGEによる癌特異的免疫療法の開発について、その可能性を検討してきた。 まず、基礎的研究としてヒト末梢血単核球により、MAGEペプチドを用いて特異的キラーT細胞(CTL)を誘導する試みを行った。HLA-A2健常人のPBMCをKLH,IL-7存在下でMAGE-3,A2ペプチドで刺激することによりペプチドをパルスした標的細胞のみならず、A2でMAGE-3を発現した培養癌細胞をも障害する特異的CTLの誘導に成功した。そこで、この方法を用いてHLA-A2でMAGE-3を発現している各種癌患者のPBMCについて特異的CTLの誘導を試みたが、4例中全例ペプチドをパルスした標的細胞を障害する特異的CTLを誘導でき、このうちの2例ではMAGE-3を発現した培養癌細胞をも障害しえた。このように比較的簡便な方法により培養癌細胞をも障害する特異的CTLを誘導しうることが明らかとなった。そこで、この様な結果に基づいて、各種癌患者に対するMAGEペプチドを用いた癌ワクチン療法を施行すべく、本研究所の倫理委員会に申請したところ許可を得た。その方法はMAGEを発現した腫瘍をもつ患者の末梢血より樹状細胞を採取してGM-CSF.IL-4存在下で培養し、これにMAGE-ペプチドをパルスし、これをワクチンとして3週間隔で4回静脈内に投与する療法である。現在胃癌再発の1例に本療法を試行中であるが、今後更に症例を重ね免疫学的効果、すなわちin vivoでのCTLの誘導さらに抗腫瘍効果について検討を進める予定である。なお、先に述べたようにペプチドを用いてin vitroで特異的CTLを誘導しうる簡便な方法を開発したので、この方法により日本人に多いHLA拘束性の有効なペプチド、更に各MAGEファミリーについてのペプチドの検索を進めている。
|
-
[Publications] Li,J.: "Expression of BAGE,GAGE and MAGE genes in human gastric carcinoma." Clin. Cancer Res.2. 1619-1625 (1996)
-
[Publications] Mori,M.: "Expression of MAGE genes in human colorectal carcinoma." Ann.Surg.224. 183-188 (1996)
-
[Publications] Tanaka,F.: "Efficient induction of anti-tumor cytotoxic T lymphocytes from a healthy donor using HLA-A2-restricted MAGE-3 peptide in vitro." Cancer Immunol.Immunother.(in press).