1996 Fiscal Year Annual Research Report
アンチセンスDNAを用いたシナプス伝達遮断による虚血脳保護法の開発
Project/Area Number |
08557083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 試験 |
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
佐治 真理 鳥取大学, 医学部, 助教授 (50114179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正弘 鳥取大学, 医学部, 助手 (10273898)
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Keywords | アンチセンスDNA / シナプス伝達 / 脳虚血 / 海馬神経細胞死 / 軸索輸送 |
Research Abstract |
本研究の目的は、シナプス入力遮断による虚血脳保護を実現するため、シナプス小胞の輸送・放出に関わる機能分子の生合成をアンチセンスDNAを用いてブロックする有効な方法を開発することである。初年度はラット前脳虚血モデルを用いて、シナプス小胞の輸送・放出を薬理学的に修飾することにより神経回路網全体のシナプス伝達効率を一時的に遮断あるいは低下させることで虚血性神経細胞障害から脳を保護することができるかどうかを明らかにすることを試みた;ラットに4-vessel-occlusion法により20分間の前脳虚血を負荷すると、1-3日で線条体と海馬CA1領域の神経細胞に選択的に神経細胞死が生ずる。神経軸索輸送の阻害剤による海馬CA1神経細胞に入力する神経線維の薬理学的遮断がこの虚血による海馬神経細胞障害に対して保護作用を示すかどうかを調べるために、虚血負荷に先立って片側の海馬に低濃度(1μM)コルヒチンを微量注入した。このラットに20分間の前脳虚血を負荷し、7日間生存させたのち潅流固定した。組織学的検索により、軸策の微小管チュブリンを脱重合する作用をもつコルヒチンの海馬内局所注入は、注入側に対して両側の海馬CA1領域で神経細胞障害の顕著な軽減効果をもたらすが、一方線条体での神経細胞障害に対しては全く保護効果を示さないことが明らかになった。神経細胞障害の保護作用がコルヒチン注入部位と神経連絡をもつ領域に限局して見られることから、軸索輸送の阻害によるシナプス伝達の遮断とその効果としての海馬神経細胞の脱入力が虚血性障害から海馬CA1神経細胞を保護したものと結論された(Neuroscinece Res.,Suppl.20(1996)S151;Brain Res.投稿中)。この結果から、トランスミッター輸送・放出に関わる機能分子のメッセンジャーRNAに対するアンチセンスDNAの効率の良い投与法の探索が次年度の研究目標と考えられる。
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Research Products
(1 results)