| Research Abstract |
われわれは,これまでに紫外線(VUA)の直接照射が網脈絡膜に及ぼす影響を家兎眼を用いて検討した。紫外線照射装置(LA-200 UV : 波長365nm,林時計工業)にファイバー(コア径0.8mm住友電工)を接続し,硝子体手術の要領で,硝子体腔内にファイバーを挿入した。ファイバーを網膜から2mmの位置に保持し,各々30秒,3分,10分間,紫外線を網膜面上に照射した。片眼は紫外線を照射せずファイバーを硝子体腔内に挿入したのみで抜去し,コントロールとした。紫外線照射1日後,1週間後,4週間後の眼底変化を検眼鏡的に観察した後,4週間後に眼球を摘出し,10%ホルマリンにて固定した後,眼球を半切し,光顕にて組織学的に紫外線照射部位の網脈絡膜の変化を観察した。
紫外線30秒照射の群では,検眼鏡的に扁平な漿液性網膜剥離が生じ,網脈絡膜の色調の変化は軽微であった。組織学的には,網膜色素上皮が選択的に障害されており,感覚網膜および脈絡膜の変化は軽微であった。紫外線10秒照射の群では,検眼鏡的に網脈絡膜の著明な萎縮が生じ,色調は白変化した。組織学的に,網膜は全層にわたって層状構造が消失し,その障害は脈絡膜に達していた。紫外線照射時間3分の群では,検眼鏡的に上記2群の中間的な所見を呈し,組織学的には,網膜は全層にわたって障害されていたが,一部層状構造は残存していた。
以上の結果から,眼内紫外線照射装置の網脈絡膜に及ぼす影響は,短時間であれば網膜色素上皮が選択的に障害し,長時間であれば網膜全層および脈絡膜にも障害が生じることが確認された。今後,網膜裂孔作成後の露出した網膜色素上皮や実験的脈絡膜新生血管に対する紫外線照射の影響を検討する予定である。
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