1996 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類頭部神経堤細胞の移動開始から歯・骨・軟骨形成までを解析する長期培養系の開発
Project/Area Number |
08557097
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Section | 試験 |
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
江藤 一洋 東京医科歯科大学, 歯学研究科, 教授 (30014161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 典子 東京医科歯科大学, 歯学研究科, 助手 (00220343)
二宮 洋一郎 東京医科歯科大学, 歯学研究科, 助手 (90237777)
池田 正明 東京医科歯科大学, 歯学研究科, 助教授 (20193211)
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Keywords | 器官培養 / 哺乳類全胚培養 / 頭部神経堤細胞 / 鰓弓 / メッケル軟骨 / 蛍光色素 / 歯胚 / 長期器官培養 |
Research Abstract |
顎顔面の形態形成の研究には両生類および鳥類が実験材料として主に用いられている。しかし、鳥類には歯牙は存在せず、また、両生類の歯牙および両生類・鳥類の口腔顔面の形態は哺乳類とは大きく異なっている。したがって、哺乳類の顎顔面の形態形成の解析をする為には、哺乳類を実験材料とする必要性がある。哺乳類を用いた既存の培養系は、神経堤細胞の移動に始まる頭蓋・顎顔面原基形成期とそれら原基の組織分化期のいずれか一方の時期にのみ適応可能であり、これらを統合して検索することができない。そこで、本研究質では、ラット胚全胚培養と下顎器官培養を組み合わせることにより、哺乳類胚を材料として神経堤細胞の移動前から軟骨・歯牙・舌などの組織分化までをin vitroで再現することが可能な長期培養系を開発し、この系を応用して、歯胚、メッケル軟骨などを形成する頭部神経堤細胞の移動開始時期と位置を明らかにした上で、顎顔面原基形成前の若い胚に細胞増殖因子やホルモン等の生理活性物質を曝露して顎顔面の形態形成や組織分化に対する影響を検索する予定である。 1)長期培養系の確立 哺乳類前胚培養系と下顎器官培養系を組み合わせることにより、頭部神経堤細胞の移動時期から歯胚・メッケル軟骨・舌などの形態形成・組織分化が起こる時期までをin vitroで再現できる長期培養系を確立した。すなわち、頭部神経堤細胞の移動時期からラット胚の全胚培養を開始し、2日間の培養後、顎顔面原基を摘出し器官培養を6〜10日間行い、歯胚・メッケル軟骨・舌などの形態形成・組織分化が再現された。 2)歯胚の間葉細胞の由来 まず、移動前の頭部神経堤細胞を蛍光生体色素に標識し、第一鰓弓の歯胚の予定形成域に到達する頭部神経堤細胞の移動開始時期と位置を明らかにした。次にその特定した時期及び位置の頭部神経堤細胞を標識し、1)で確立した系を用いて発生を進ませ、哺乳類の歯胚間葉が中枢の神経堤細胞に由来することを明らかにした。
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[Publications] Ima,H.,Osumi-Yamashita,N.,Ninomiya,Y.,and Eto,K.: "Contribution of early-emigrating midbrain crest cells to the dental mesenchyme of the mandibular molar tooth in rat embryos." Developmental Biology. 176. 1996 (151-165)
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[Publications] Osumi-Yamashita,N et al.: "Cranial anomaly of homozygous rSey rat is associated with a defect in the migration pathway of midbrain crest cells." Devel.Growth & Differ.(in press).
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[Publications] 大隅-山下典子、二宮洋一郎、江藤一洋: "「神経生物学研究に必要な胚と個体の遺伝子操作法」ニューロサイエンスラボマニュアル 3 神経発生研究における哺乳類全胚培養法" シュプリンガー・フェアラーク東京 近藤寿人 編集(in press), (151-165)