1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08557110
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 試験 |
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
平井 敏博 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (80014273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大友 康資 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (60285533)
広瀬 哲也 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (70231553)
池田 和博 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (10193195)
越野 寿 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (90186669)
石島 勉 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (60211041)
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Keywords | 下顎タッピング運動 / 咀嚼筋筋電図 / 咀嚼リズム / 下顎運動制御能 |
Research Abstract |
顎口腔系の健全性と正常な機能の維持が高齢者のQOLを確保するための基本的因子であることの報告が多くなされており,咬合・咀嚼機能の維持が重要視されている.さらに,確実なインフォームド・コンセントの必要性が強調されており,咬合治療や義歯補綴治療を行う場合においても,その効果と限界を患者に対して十分に説明する義務が生じている.このためには,咬合・咀嚼機能を客観的に評価し得る方法と基準の確立が不可欠でり,顎口腔系を歯(顎粘膜),筋,顎関節,中枢神経系(大脳皮質,脳幹など)からなる「機能的咬合(咀嚼)系」として捉らえなければならない. 本研究においては,咀嚼機能に関与する生物学的因子の一つである患者自身の有する神経筋制御能力の客観的評価法を確立するために,顎口腔系に自覚的および他覚的な異常の認められない正常有歯顎者を被験者として,ファンクションジェネレータにより2Hzに規制した音刺激に対して可及的に同調した下顎タッピング運動を行わせ,三次元的な下顎運動軌跡と咀嚼筋筋電図を記録し,下顎運動の巧緻性を評価するために有効なパラメータについて検討した.本研究結果から,正常者においては下顎運動周期時間と側頭筋筋活動周期時間の被験者間のバラツキが著しく小さいこと,第1ストロークから第10ストロークまでの周期時間ストロークごとによる変動は小さいことが判明した.さらに,50μmの垂直的咬合干渉を付与した実験用クラウンを装着した患者の咬合接触状態を厚さが25μmの咬合紙とデンタルプレスケールを用いた一般的な咬合診査法と,今回の下顎運動軌跡と咀嚼筋筋電図によるそれとを比較したところ,本法の臨床的有用性が示唆された.また,本法が下顎運動制御能の評価の一助となり得ることが示唆された.
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