1997 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍性抗生物質マイトマイシンとその関連化合物の合成研究
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08557121
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福山 透 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (10272486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水上 民生 協和醗酵工業株式会社, 東京研究所, 主任研究員
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Keywords | マイトマイシン / FR900482 / 抗腫瘍性抗生物質 / [3+2]付加環化反応 / ニトリルオキシド |
Research Abstract |
Mitomycin CとFR-900482は類似の構造を持つ抗腫瘍性抗生物質である。これらの化合物を8員環をもつ中間体から合成する計画を立案し、全合成研究に着手した。本年度は、ニトリルオキシドの分子内のビニル基への1,3-双極子付加環化反応により、8員環形成を試みた。 まずはじめに、アジリジン部位に官能器をもたない環化前駆体を合成し、環化反応を試みた。鍵となる1,3-双極子付加環化反応の収率は30%前後と満足すべきではないが、目的とする8員環生成物を得ることができた。 次に、アジリジン部位にエポキシドをもつ基質について同様の反応を試みたが、ニトリルオキシドの前駆体があまりにも不安定なために目的とする環化体は得られなかった。そこで、アセトナイド保護したtrans-ジオールをもつ系で調べた。1,3-双極子付加環化反応の収率は50%以上に向上した。立体化学に関してNMRなどによる構造解析の結果、生成物は1:1のジアステレオマ-混合物であると思われる。 さらに、より実験の合成に近い系として、アセトナイドで保護したtrans-アミノアルコールをもつ系でも実験を行った。trans-アミノアルコール部分の合成は1,2:5,6-di-O-isopropylidine-D-mannitolを原料とし、数段階の変換により行った。立体的に大きいN-Boc基による1,3-双極子付加環化反応における立体選択性の向上を期待したが、約2:1の立体異性体の混合物が得られた。 今後の展開としては、芳香環により目的化合物に近い官能基を導入するとともに、現在は光延反応で行っている芳香環部分とアジリジン部分のカップリングをより大量合成に耐えうる形、すなわちアルデヒドとアミノ基、またはヒドロキシルアミンとの還元的アミノ化等で試行することを予定している。
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[Publications] Eri Arai, H.Tokuyama, M.S.Limsell T.Fukuyama: "2-(2-Amino phenyl)-acetaldehyde Dimethyl : A Novel Reagent for the Protection of Carboxylic Acids" Tetrahedron Letters. 39・1. 71-74 (1997)