1996 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子発現スイッチ機構を持つ遺伝子治療用ベクターの開発
Project/Area Number |
08557142
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Section | 試験 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斉藤 泉 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (70158913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊 利之 住友製薬(株), 総合研究所, 主任研究員
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Keywords | アデノウイルスベクター / 肝癌 / 遺伝子治療 / Cre / loxp |
Research Abstract |
部位特異的組換え酵素Creは標的配列である34塩基対のloxp配列を認識しloxp間のDNA配列を環状に切り出す作用を持つ。このCreを発現する組換えアデノウイルスを「分子のスイッチ」として用いることにより、遺伝子発現を特異的にONあるいはOFFにすることが可能である。本年度の研究では、肝癌特異的に発現するα-fetoprotein(AFP)プロモーターを用いてこのCre酵素を肝癌特異的に発現する組換えアデノウイルスを作製した。従来このプロモーターからの発現は肝癌特異的というメリットはあるが、発現が弱いのが欠点であった。そこでこの肝癌特異的Cre発現ウイルスを用いて、このプロモーターより500倍強力なCAGプロモーターから目的遺伝子の発現がONにできる制御ユニットを登載したアデノウイルスと同時感染を行う系を開発した。この方法で肝癌由来HepG2細胞では本来のAFPプロモーターに比較して約50倍高い発現量が観察された。またAFPを産生していないHeLa細胞においてはその発現量はHepG2細胞での1/200以下であり、発現特異性は極めてよく維持されていた。さらにこの強力かつ特異的は発現はヌードマウスを用いた実験的肝癌モデルにおいても同様に観察された。本法は特異的な肝癌の遺伝子治療法の開発にに有用と考えられ、特に自殺遺伝子療法と組み合わせることにより、播種性の肝癌や遠隔転移などで正常組織を傷つけずに肝癌細胞を特異的に死滅させる方法に道を開く可能性がある。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Miyake,S.et al: "Efficient gereration of recombinant adenoviruses using adenovirus DNA-terminal protein complex and a cosmid cantaining fall-length・・・" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 93. 1320-1324 (1996)
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[Publications] Makimura,M.et al.: "Induction of antibodies against structural proteins of hepatitis Cvirus in mice using recombinant adenovirus" Vaccine. 14. 28-34 (1996)
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[Publications] Tsukui,T.et al: "Transgenesis by adenovirus-mediated gene transfer into mouse zona-free eggs" Nat.bioech.14. 982-985 (1996)
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[Publications] Kanegae,Y.et al: "Efficient gene activation system on mammalian cell chromosomes using recombinant adenovirus producing Cre recombinase" Gere. 181. 207-212 (1996)