1997 Fiscal Year Annual Research Report
新規遺伝性てんかんラット(NER)の開発と薬理学的応用
Project/Area Number |
08557146
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
笹 征史 広島大学, 医学部, 教授 (20025654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 篤 (財)畜産生物科学安全研究所毒性部, 室長
芹川 忠夫 京都大学, 医学部, 教授 (30025655)
松林 弘明 広島大学, 医学部, 助手 (60165850)
石原 熊寿 広島大学, 医学部, 講師 (20212912)
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Keywords | ノダてんかんラット(NER) / てんかんモデル動物 / 音刺激プライミング / 聴原性発作 / 常染色体劣性遺伝 / 高振幅スパイク / 脱分極シフト / Ca^<2+>チャネル異常 |
Research Abstract |
Crj:Wistarコロニーより自発性に全身けいれんを起こすラットが見い出された。本突然変異体がてんかん原性を持つか否かを明らかにし、本動物をてんかんモデル動物として確証することを目的に研究を行った。その結果、てんかん原性を有することが明らかになり、ノダてんかんラット(NER)と命名し、Epilepsia(39:99-101,1998)に発表することができた。すなわち、選別交配を行うことによりF9世代以降、98%以上の動物に発作が出現するようになった。戻し交配研究の結果、この発作は常染色体劣性遺伝をすることが明らかとなった。典型的な発作は突然ジャンピング/ランニングを起こし、強直性けいれん、次いで間代性けいれんを起こし、発作終了後は深睡眠に入った。強直性けいれん時には棘波、間代性けいれん時には高電位多棘波〜多棘徐波複合が海馬および大脳皮質に認められる。この発作は生後8〜16週以降に認められ、約30時間に1回の割合で起こる。さらに実験モデルとして便宜性を高めるため、発作回数を増やし、確実に発作を誘発することに成功した。すなわち、生後3週齢より毎週1回、ベル(95dB、8kHz)の音を30秒間与えるプライミングを行うと、9週齢以降試みた100%のNERに確実にこのベル音により発作を誘発することが出来た。この発作および脳波所見は自然発症する発作とほぼ同一であった。また発作間欠期にも脳波上、海馬に単一の棘波、大脳皮質に棘徐波が認められた。さらに海馬スライス標本を用い、海馬CA3ニューロンより細胞内記録を行い、発作のメカニズムを解明すべく、電気生理学的研究を行った。その結果、苔状線維を単一刺激した時にCA3ニューロンに長時間持続する脱分極シフトとこれに伴う頻回発射が得られた。この異常反応はCa^<2+>ブロッカーのニカルジピンにより完全に抑制された。これらの治験からNERは海馬CA3ニューロンのCa^<2+>チャネル異常があると考えられた。
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[Publications] 笹 征史: "新しいてんかん動物モデル(NER)" 日本神経精神薬理学雑誌. 17・2. 35-38 (1997)
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[Publications] Atsushi Noda: "NER rat strain:a new type of genetic model in epliepsy research." Epilepsia. 39・1. 99-107 (1998)
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[Publications] Koji Iida: "Induction of convulsive seizures by acoustic priming in a new genetically defined model of epilepsy (Noda epileptic rat:NER)." Epilepsiy Research. (印刷中). (1998)