1996 Fiscal Year Annual Research Report
走運動時に興奮する中枢神経系の検索法の確立と運動生理学への応用
Project/Area Number |
08558005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 試験 |
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
征矢 英昭 三重大学, 教育学部, 助教授 (50221346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中瀬 真治 三重大学, 医学部, 助手 (60273372)
浜中 健二 三重大学, 医学部, 助手 (70242956)
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Keywords | 走運動 / 中枢神経活動 / c-fos発現 / in situ hybridyzation法 / マッピング |
Research Abstract |
本研究は、走運動時に興奮する中枢神経系の部位を確立することとその方法の確立を目指し、ラットに乳酸性作業閾値程度のやや強い運動強度の走運動を行わせた際の脳内のc-fos遺伝子の発現をin situ hybridization法を用いて可視化し、走運動ストレスに含有される種々の成分を推測することを目的とした。 本研究では主に走運動ストレス時の興奮を視床下部室傍核に焦点をあてて検討したが、同時に大脳皮質の後肢支配領域、梨状皮質、大脳辺縁系の扁桃核、また視床下部腹内側核、外側視床下野、視索上核なども観察できた。室傍核の興奮は運動開始後15分ですでに有意な増加を示し、30分でピークに達し、運動終了時の60分まで継続した。運動終了後は徐々に減少する傾向を示した。それとともに視索上核、大脳皮質後肢支配領域、扁桃核も興奮を示したが、梨状皮質は運動前から興奮を示し、腹内側核、外側視床下野は運動前から運動後までほとんど興奮を示さなかった。 この結果は、拘束ストレスで室傍核の興奮が30分でピークを示し、60分で半減するというImakiらの報告と明らかに異なり、走運動ストレスに特異的な現象であると考えられる。この原因は明らかではないが、ラットにおける走運動は前肢と後肢によって行われ、その情報が継続して直接、あるいは間接的に視床下部に送られるためかもしれない。本研究では便宜的に大脳皮質後肢支配領域のみしか観察できていないが、今後は大脳皮質の前肢支配領域などを含め、もっと広範囲にわたって興奮部位を同定する予定である。
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[Publications] 川島均,征矢英昭他: "運動ストレスによる視床下部室傍核におけるc-fos遺伝子の発現と時間経偉" 運動生化学. 8. 38-40 (1996)
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[Publications] 征矢英昭,吉里秀雄: "運動トレーニングによるストレス反応の減弱とその機序" 運動生化学. 8. 30-37 (1996)
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[Publications] 加藤佳子,征矢英昭: "ラットの乳酸性作業閾値(LT)を用いた走運動-カテコラミン分泌モデル" 運動生化学. 8. 66-69 (1996)