1997 Fiscal Year Annual Research Report
超微量蛋白質アミノ酸配列分析用マルチ気相化学反応装置の開発
Project/Area Number |
08558071
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高尾 敏文 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (10197048)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 宏之 日本パーセプティブ(株), 技術開発課, 課長
今本 尚子 大阪大学, 医学部, 助手 (20202145)
下西 康嗣 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (00029951)
|
Keywords | 微量蛋白質 / アミノ酸配列 / 気相化学反応装置 / 特異的化学分解 / 耐蝕・耐圧性反応槽 / マルチ試料プレート / 質量分析 |
Research Abstract |
平成8年度設計、試作した装置を用いて微量蛋白質、ペプチド構造解析のための種々の化学反応を検討した。主なものを以下に列挙する。また、反応プレートは試料を塗布する側をテフロンコート(50μm厚)とし、反応槽は容積を180cm^3に縮小したものを今年度改良、試作して以下の反応に用いた。 1)メチオニン残基特異的切断:気相中での蛋白質のBrCN分解を検討した結果、1%BrCNを含む70%ぎ酸中、50℃、4時間反応させる方法により最も効率のよい切断が観測された。チトクロームC(20ピコモル)の反応産物を質量分析により直接調べたところ、この条件により全てのメチオニン残基での切断が観測され、ピコモルレベルの微量蛋白質への応用が可能であることがわかった。 2)蛋白質の部分酸加水分解による断片化:20%酢酸及びトリフルオロ酢酸を用いて、100℃、10分間処理し、断片化について検討した。ミオグロビン及びチトクロームCの反応産物を質量分析により調べた結果、分子量1000から3000のペプチド断片が複数観測されたが、期待される酸性アミノ酸残基前後での特異的切断は困難であることがわかった。 3)エドマン分解:気相中でのペプチドのエドマン分解によるアミノ末端アミノ酸配列決定について種々検討した。その結果、1)10%N-メチルモルフォリン/ピリジン溶液(200μl)と40%イソチオシアン酸メチル/2-プロパノール(200μl)を各々反応槽に導入し、60℃、30分間カップリング反応を行う。2)反応終了後、減圧下で試薬を除去し、さらに、2-プロパノール(200μl)により系内を洗浄、留去する。3)50%トリフルオロ酢酸/2-プロパノール(200μl)により、60℃、20分間処理するという一連の反応により、N末端アミノ酸を効率よく切断する。また1)-3)の反応を繰り返し行うことにより、ペプチドのN末端アミノ酸配列を順次決定できることがわかった。10-13個のアミノ酸からなる3種のペプチド(各々1ピコモル使用)を例に、この一連の反応を繰り返し行い、最終反応産物の質量分析を行った結果、N末端より3残基のアミノ酸配列が1回の質量測定から同定できた。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] K.Nunomura et al.: "A Novel Modification of the Lysine Residue at Position 12 of Histone H4 in Starfish Sperm" Biosci.Biotech.Biochem.61. 2151-2152 (1997)
-
[Publications] T.Shimizu: "Structure of a Covalently Cross-linked Form of Core Histones Present in the Starfish Sperm" Biochemistry. 36. 12071-12079 (1997)
-
[Publications] W.Mo: "Accurate Peptide Sequencing by Post-Source Decay Matrix-Assisted Laser desorption/Ionization time-of-flight Mass Spectrometry" Rapid Commun.Mass Spectrom.11. 1829-1834 (1997)
-
[Publications] Y.Yamazaki: "The Use of Capillary Liquid Chromatography/Electrospray Mass Spectrometry to Identify a Specific Cysteine Residue Susceptible to S-Thiolation in Recombinant Human Cu,Zn,Superoxide Dismutase" Res.Commun.Biochem.Cell & Mol.Biol.1. 205-217 (1997)
-
[Publications] M.Asahi: "The Oxidation of Selenocysteine is Involved in the Inactivation of Glutathione Peroxidase by Nitric Oxide Donor" J.Biol.Chem.272. 19152-19157 (1997)
-
[Publications] M.Nakagawa: "Identification of Two Palmityl Groups in Octopus Rhodopsin" Photochem.Photobiol.65. 187-191 (1997)
-
[Publications] T.Takao: "High-Sensitivity Mass Spectrometry for Analysis of Post-translational Modifications" J.Protein Chem.16. 409-413 (1997)
-
[Publications] 高尾敏文 分担: "現代化学・増刊31“修飾タンパク質"" 東京化学同人, 316 (1997)