1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08558095
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
松浦 弘幸 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (30262116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 正博 産業医科大学, 保健情報学部, 助教授 (70141744)
満渕 邦彦 国際, 産学共同研究センター, 教授 (50192349)
井街 宏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10010076)
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Keywords | 確率共鳴 / SIRM / ブラウン運動 / アクチン分子 / ミオシン |
Research Abstract |
アクチンとミオシンは,分子間力を通して相互作用を行っている. そこで,我々は,分子間力として,斥力と引力ポテンシャルを用いて,SIRMの運動を解析した. 分子間力を用いたSIRMの運動の運動方程式は,近似的にDuffing方程式に変形される. この方程式の共鳴摂動解の変位は,並進運動解と共鳴振動解とからなる. ノイズとシステム系との共鳴項は,SNRの周波数依存性を図示すれば,特定の周波数でピークを持ことが判明した. 我々のシステム系には,確率共鳴が存在している事や,第1項で示されているように,熱ノイズとの共鳴現象がSIRMの並進運動に変換された事を示している. 我々の分子間力SIRMの数値解析法による厳密解でも,SIRMの頭部のブラウン運動を起こしながら,SIRMが並進運動を起こす事が判明した. SIRMは,以下の機序により熱ノイズを運動エネルギーに変換すると考えられる. (1)媒質分子がSIRMの頭部に衝突する. この時,媒質分子の持つ速度の違いや,衝突する時間のずれ等の原因により,頭部がランダムに振動する. この振動は,白色ノイズとなる. (2)頭部の寸法やバネ定数の大きさで決まる固有振動数を系は持つ. このために,系は白色ノイズの持つ全ての周波数帯の中から,ある特定の周波数を選び出す. つまり,系と熱ノイズの間に共鳴現象が生じる(確率共鳴の発生). (3)固有振動する頭部は,アクチンフィラメントと衝突を行う. この時,傾いたロッドとアクチン分子が球形であるために,アクチン分子を一方向に蹴ることになり,その反動でミオシンファイバーを一方向に駆動することになる. 結局,媒質分子のランダムな熱ゆらぎ(ノイズ)からエネルギーを取り出し,方向性のある運動に変換したことになる.
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[Publications] Matsuura H: "Theoretical Approach to Actin-myosin system as an example of Complex System" Jr of Biomed.Fuzzy System asscociation. 3(1). 47-52 (1997)
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[Publications] Matsuura H: "Stochastic Resonance and application to actin Myosin system" DESTOBIO'97. 135 (1997)
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[Publications] Matsuura H: "Stochastic Resonance and Its application to Actin Myosin system(II)" Artificial Organs. 21(6). 571 (1997)
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[Publications] Matsuura: "Thermal Ratchet and Its Application for the Actin Myosin system" Micromachine,Micromachin Center. 20. 11 (1997)
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[Publications] 松浦弘幸: "アクチン・ミオシン系の分子間力・確率共鳴モデル" 日本物理学会秋の分科会. 52(2). 854 (1997)
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[Publications] 松浦弘幸: "メソスコピック世界におけるゆらぎ" 森北出版, 57-102 (1997)