1996 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内構造の操作を目的とした大捕捉力を持つ高分解能光ピンセット顕微鏡の開発と応用
Project/Area Number |
08559015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Section | 試験 |
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田代 英夫 理化学研究所, 光生物研究チーム, チームリーダー (90124370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 正三 東京都立大学, 理学部, 教授 (60011681)
陸川 克二 ニコン(株), 顕微鏡開発部, 部長
牧尾 諭 日立金属(株), 磁性材料研究所, 研究員
和田 智之 理化学研究所, 光生物研究チーム, 研究員 (90261164)
倉知 正 理化学研究所, 光生物研究チーム, 研究員 (20271546)
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Keywords | 光ピンセット / 波長可変レーザー / 細胞運動 / ホメオスタシス / 細胞内構造力学 |
Research Abstract |
1.光ピンセット用波長可変レーザー(Ti:SapphireレーザーおよびCr:LiSAFレーザー)の開発 新しいレーザーの波長可変技術として音響光学素子(AOTF)を利用し、数ミリ秒の時間分解で任意の波長に同調することができる電子制御Ti:Sapphireレーザーを開発した。また、現有のクリプトンレーザーによりCr:LiSAF結晶を励起、レーザー発振させてその出力特性を測定し、波長850nmで約100mWの出力を確認した。 2.光ピンセット顕微鏡の開発 光ピンセット用の光源である近赤外レーザー光について透過率の良い光学系と、輝度の高い観察光を得るための照明光学系を採用して微分干渉顕微鏡の改良を行った。これにより20mW程度のレーザー出力で水溶液中のラテックスビーズ(直径0.8μm以下)を容易に捕捉可能であることを確認し、従来のNd:YAGレーザー光(1.06μm)に比べて捕捉パワーが小さくてすむことがわかった。まず照明光学系の改良により、ビデオコントラスト増強法と組み合わせて細胞内の微小顆粒(直径0.1μm以下)や細胞骨格フィラメントを高分解で可視化できることを確認した。 さらに、レーザー光を顕微鏡視野内で任意に操作するために、コンピュータ制御のガルバノスキャナミラーを採用し、これを経由してレーザー光を顕微鏡に導入した。 3.細胞内構造の基礎研究 開発したNd:YAGレーザーを光源とする光ピンセット顕微鏡を用いた応用研究として、シダ原始体内の核小体の捕捉を試みた。 シダ原始体を遠心処理し、核外に飛び出した核小体の修復機構を光ピンセットにより調べた。約10ピコニュートンの力で核小体を捕捉している間の核小体とそれを包む核膜の動きを観察したところ、核小体の修復に関して核小体につながる染色糸の張力と核膜の張力が各々独立に関与していることを明らかにすることができた。
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[Publications] 倉知 正,田代英夫: "レーザートラッピングによる細胞操作と計測" 光技術コンタクト. 34. 280-285 (1996)
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[Publications] 倉知 正,田代英夫: "光マニピュレーションの生物学への応用" レーザー研究. 24. 1148-1155 (1996)
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[Publications] S.Wada,K.Akarawa and H.Tashiro: "Electronically tuned Ti : sapphire laser" Optics Letters. 21. 731-733 (1996)