1997 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内構造の操作を目的とした大捕捉力を持つ高分解能光ピンセット顕微鏡の開発と応用
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08559015
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田代 英夫 理化学研究所, 光生物研究チーム, チームリーダー(研究職) (90124370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 正三 東京都立大学, 理学部, 教授 (60011681)
陸川 克二 ニコン(株), 顕微鏡開発部, 部長
牧尾 諭 日立金属(株), 磁性材料研究所, 研究員
倉知 正 群馬大学, 医学部, 助手 (20271546)
和田 智之 理化学研究所, 光生物研究チーム, フロンティア研究員 (90261164)
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Keywords | 光ピンセット / 波長可変レーザー / 細胞運動 / 細胞内構造力学 |
Research Abstract |
1.光ピンセット用波長可変レーザー(Ti:SapphireレーザーおよびCr:LiSAFレーザー)の開発 高能率、低損傷型光ピンセット用レーザーとして、光LDレーザー励起CW-LiSAFレーザーシステムを製作した。これは2台のLiSAFレーザー発振器からのレーザービームを1つのビームに合成することにより、大捕捉力光ピンセットに必要な高出力化をはかるものである。このシステムの最大の特長は2台のレーザーのビームプロファイルを制御することにより、効率よくTEM11型の中空ビーム出力を取り出せることであり、これによって、大捕捉力をもち、細胞に対する損傷が低い光ピンセット用ビームが得られた。 2.細胞内構造の基礎研究 従来のNd:YAGEーザーを光ピンセット用レーザービームに用いて、細胞構造の研究を進めた。シダ原始体内の核小体を捕捉する研究では、光ピンセットによって加えられた変位から、核小体につながる染色糸及び核膜の力学的性質を調べることができた。また、新しい測定対象として正常ヒト好中球を用い、その遊走メカニズムを探る目的で、光トラップによる細胞質の粘性及び弾性を定量した。測定部位を仮足進展部、体部、尾部の3種に分け、それぞれの部位による差異の有無を検討した。その結果仮足進展部では体部、尾部に比べて粘性は1/6、弾性は1/20というもので、これは仮足進展部の細胞質はより液体に近いことを示し、細胞内圧により細胞質が押し出されて仮足が形成されることを示唆する。
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[Publications] T.Tashiro, Y.Komiya, M.Kikumoto M.Kurachi and H.Tashiro: "Direct Visualization and Characterization of Stable Microtubules from the Nearites of Cultured Dorsal Root Ganglion Cells." Journal of Neuroscience Research. 50. 81-93 (1997)
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[Publications] K.Akagawa, S.Wada, and H.Tashiro: "High-speed optical parametric oscillator pumped with an electronically tuned Ti : sapphire laser." Appl.Phys.Lett.70(10). 1213-1215 (1997)
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[Publications] 尾崎幸洋、久保宇市、山本克之、中瀬雄三、志賀利一、田代英夫、曾沢勝夫、新橋武、尾花明、熊崎藤、網沢義夫: "ここまできたレーザー応用:医療分野:細胞と生体分子の光マニピュレーション" レーザー研究. 26(1). 90-103 (1998)