1996 Fiscal Year Annual Research Report
現象学的な観点から見たマイノング対象論の現代的意義
Project/Area Number |
08610003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chuogakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 英明 中央学院大学, 商学部, 講師 (70192599)
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Keywords | 現象学 / 対象論 / マイノング |
Research Abstract |
当初の研究実施計画にしたがい,近年のParsons,Kalsi,Lambert,Perszykなどの研究に依拠しつつ,マイノング対象論の内容を現代的な視点から詳細に分析するとともに,当時の時代状況における対象論の位置づけを再確認し,より一層明確化するために,トワルドウスキーの表象論や,フッサール現象学との関連を考察した.特に,マイノングにおける「表象」概念と「対象」概念を中心に考察をすすめたが,その過程で,「像」という概念に関する現代の哲学および記号論における成果を明確化しておく必要があると考えられた.そこで,ガダマ-やグッドマンなどの議論を中心に,「類像」に関する現代の論点を整理しておくことにした.その研究成果は,論文「像の指示機能と代表機能」(『現象学年報』第12号)および「絵画的記号における約定」(『中央学院大学 人間・自然論叢』第5号)として発表した.「像の指示機能と代表機能」においては,像の一般的機能を明らかにするとともに,『真理と方法』におけるガダマ-の画像理論を分析し,この画像理論がガダマ-の解釈学の展開においてもつ意義も考察した.「絵画的記号における記号と約定」においては,記号としての像において約定性の果たす役割とその射程を解明した.これらの研究成果は,今後,特に対象論における「表象」概念を現代的な観点から分析する際に、活用しうるものと思われる. 平成9年1月以降は,対象論と深く関係する「無対象的表象」の問題をめぐるマイノングとフッサールとの関係を,主にフッサールの「還元」という方法との連関において研究しており,その成果の発表準備中である.
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Research Products
(2 results)