1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
渡邊 二郎 放送大学, 教養学部, 教授 (60011285)
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Keywords | フィヒテ / 知識学 / ドイツ観念論 / 現象学 / 生命 / 真理 / 理性 / 意識 |
Research Abstract |
本平成8年度においては,主として「カントとドイツ観念論における人間観」を研究対象としたが,実質的には,フィヒテの知識学に示された人間観の研究にその主力が,まず注がれた。その際,特に,後期フィヒテの知識学が研究対象に据えられ,その数多くの遺稿のなかでも,きわめて重要な1804年の『知識学』に焦点を合わせて,徹底的な読解の作業が試みられた。周知のように,この遺稿はきわめて難解である上,多数の研究者もドイツ本国で刊行され,その哲学的内容が種々検討されてきている。それらの成果を踏まえ,「1804年の『知識学』と現象学」という形で,研究成果をひとまず纏め上げることができた。この成果の基本趣旨は,平成8年11月16日の人間観フィヒテ協会のシンポジウムで報告されたが,詳しい内容は,それとは別に,約110枚(400字原稿)の論文として仕上げられた。それを本年の研究成果として,ひとまず,仮の印刷をして記録にとどめておく。他日,より全体的なフィヒテ研究のなかに活かすつもりである。そのあと,今度は,一気に現代に飛んで,ハイデッガ-のヒューマニズム書簡の翻訳・注解・分析の仕事に取り組んだ。次年度にこれは公刊される予定である。
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[Publications] 渡邊二郎: "自我論と情念論の研究" 平成7年度科学研究費補助金一般研究(C)研究成果報告書. 1-106 (1996)
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[Publications] 渡邊二郎: "現代ドイツにおける学術研究教育体制の全般的動向と精神科学の問題" 平成7年度二国間学術交流派遣代表団報告書(日本学術会議). 90-102 (1996)
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[Publications] 渡邊二郎: "科学技術と人間" 学術の動向(日本学術協力財団). 第1巻第2号. 56-57 (1996)
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[Publications] 渡邊二郎: "カント永遠平和論の意義-その思想的根拠を中心として-" 日本カント協会編『カントと現代』(晃洋書房). 23-35 (1996)
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[Publications] 渡邊二郎: "1804年の『知識学』と現象学" 平成8年度科学研究費補助金基盤研究(C)(2)研究成果報告書. (予定). (1997)
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[Publications] 渡邊二郎: "英米哲学入門" ちくま学芸文庫, 433 (1996)
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[Publications] 渡邊二郎: "哲学入門" 放送大学教育振興会, 258 (1996)