1996 Fiscal Year Annual Research Report
チベット蔵外文献を中心にしたインド・チベットの五明處の研究
Project/Area Number |
08610021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
御牧 克己 京都大学, 文学研究科, 教授 (20109060)
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Keywords | チベット / インド / 五明處 / タクツァンロ-ツァワ / 因明 / 内明 / 医方明 / 声明 |
Research Abstract |
五明處とは、インドに於て伝統的に知られている五つの学問分野(声明、医方明、工巧明、因明、内明)を意味するが、本研究の目的は、研究代表者御牧が世界の三個所から入手し得た、チベット蔵外文献の稀書に属し従来入手困難とされてきたタクツァンロ-ツァワ・シェ-ラブリンチェン(1405-?)の『[五]明處全知』(Rig gnas kun ses)とその自注の批判的校訂本と訳注を完成させることにある。同書は、第一章:総説、第二章:工巧明(工芸、美術、天文)、第三章:医方明(薬学、医学)、第四章:声明(文法学、言語学)、第五章:因明(論理学)、第六章:内明(仏教学)という構成になっているが、今年度は以下の点に研究を進展させることが出来た。 1.先づテクスト全体をコンピューターに入力し終え、固有名詞と重要語句を容易に検索出来るようデータを整備した。 2.『[五]明處全知』が典拠とする全文献をコンピューター入力するという作業は部分的にしか進めることが出来なかったが、代りに、タクツァンロ-ツァワの他の書物(『宗義全知』Grub mtha'kun ses)の入力を完成出来たことは有益であった。 3.『[五]明處全知』の批判的校訂本と訳注を完成させる作業は第一章、第五章、第六章についてはかなりの程度に進展させることが出来た。平成9年度には出版に向けてそれらをさらに整備すると同時に残りの章についても同様の作業を継続したい。 本研究に関係する、現在の我が国の何処にも設置されていないと思われるインド出版チベット複製文献をある程度購入出来たのは有益であった。また、現在の中国で出版されているチベット文献の内、本研究に関係する文献をほとんど網羅的に購入出来たことも本研究を進展される上で大いに有益であった。
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