1996 Fiscal Year Annual Research Report
倫理学基礎語彙の倫理思想史的研究-用法の公共性を索めて-
Project/Area Number |
08610040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
清水 正之 東京理科大学, 工学部, 教授 (60162715)
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Keywords | 倫理学 / 倫理思想史 / 家族 / 責任 / 人格 / 和辻倫理学 |
Research Abstract |
研究題目中、倫理学基礎語彙として挙げた基礎語彙中、とくに家族、責任の二つについて、初年度の試行的な意味を込めて、着手した。 責任については、責任という用語の、中国語としての淵源をたずねること、西洋の責任概念を整理して、現実の責任概念の考察に加味した。これらは、機会を得て、刊行書の一論文に発表した。責任という語は中国においては清朝の官僚制のなかで、用語として使用されるようになったこと、その用法が近代日本に直接的に影響を与えることになったなどを論じ、西洋個人主義の責任概念などと比較しつつ検討した。 家族については、近代日本の家族概念を中心に、古代からの歴史的考察を加え、日本倫理思想史の全体の見通しのなかにおきつつ考察を続けた。これらの成果は、機会を得て、日本倫理学会において『「いえ」の解釈-和辻倫理学における家族の原型』として発表、また『倫理学会年報』(1997年3月刊行予定)に論文として掲載される。また、この主題は、和辻倫理学においては「人格」概念と深い関わりをもつものであり、上記発表・論文においてはその点もいささか論じることをした。 残る基礎語彙については、以上の実績で得た方法上の知見、知識、考察を生かして、さらに遂行してゆく。
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[Publications] 清水正之: "個人の責任か,それとも団体の責任か?" モラルアポリア-道徳のディレンマー(ナカニシヤ出版). (予定). (1997)
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[Publications] 清水正之: "「いえ」の解釈-和辻倫理学における「家族」の原型-" 倫理学年報. 45(予定). (1997)