1997 Fiscal Year Annual Research Report
「からだ」についてのイメージ・知の再検討、そしてその再構想の試み
Project/Area Number |
08610045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
竹山 重光 和歌山県立医科大学, 教養部, 助教授 (60254520)
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Keywords | ルネ・デカルト / ウィリアム・ハ-ヴェイ / からだ / 身体論 / 現象学 / 蘭方 / 女性 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度につづいてルネ・デカルトおよびウィリアム・ハ-ヴェイの調査読解を行いつつ、並行して、現代の現象学的な身体論の研究をも行った。これを通じて現時点で明らかになったと思われるのは、以下の事柄である。 「からだ」についてのイメージは、今では、デカルトが描いたものを代表とするような、機械的なものになっている。このことは承認できるだろう。そこで立てるべき問は、どうしてそうした機械的イメージがこれほどまでに受け入れられているのかである。この問題に関して、現象学的なアプローチによって明らかになったのは、「からだ」の経験のされ方、あるいは、「からだ」のあらわれ方に、そもそも不在、消失(absence,disappearance)がつきまとうことであり、それを通じて「からだ」が公共化、客観化していることである。 この事態は、特に女性の「からだ」について、とりわけその妊娠出産の時期に、顕著である。女性のからだは公開され、消失している。この角度から、本年度は研究的講義も行った。 また、この事態は、日本が西洋医学を、すなわち蘭方の医学を移入したときに顕著にあらわれていた。蘭方医学は、日本人にとって、切り開き、あからさまに外に示すものであり、外に示されたものこそが、真なのであった。また蘭方医学の人体図に描かれる「からだ」は、抽象され構成された、誰のものでもない「からだ」であった。そして、そのようなからだこそが、真とされたのであった。
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