1996 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の表情と感情コミュニケーションについての基礎的研究
Project/Area Number |
08610072
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
中村 真 宇都宮大学, 国際学部, 助教授 (50231478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益谷 真 敬和学園大学, 人文学部, 助教授 (00257437)
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Keywords | 高齢者 / 表情 / 感情 / コミュニケーション |
Research Abstract |
高齢者を取り巻く心理学的問題の一つに、コミュニケーションの困難さがある。困難さの原因として直接的には相互の感情をうまく伝えあえないこと、つまり感情表出とその判断における加齢による変化や世代間の差異が重要と考えられる。このような視点から、本研究では高齢者の表情を撮影し分析することによって、感情表出とその判断における加齢による変化や世代間の差異を明らかにするための基礎的な知見を得ることを目的とした。 本年度は60代後半以上の高齢者20名(男性5/女性15)の表情の収集を行い、現在、同時に得られた感情経験に関する調査結果の分析を進めている。表情の収集では、高齢者の表情のバリエーションをできる限り広範に記録するため、ビデオとカメラを用いて同時に撮影した。撮影では、はじめにフィルム一本分程度を使って自由に表情を作ってもらい、次に実験者が指定した感情(幸福、悲しみ、恐れ、嫌悪、怒り、驚き、軽蔑、真顔)を順に4回ずつポ-ズしてもらった。また表情撮影に引き続き、個々の感情の表出の程度を中心に日常生活における感情経験について面接調査を行った。 現時点までの分析結果をまとめると、(a)表情の豊かさ(表情の種類と表出の程度)に個人差が大きく、(b)感情経験として自己卑下的な傾向が見られた。今後はさらに表情の分析などを行うとともに、大学生との比較を通して、高齢者の表情と感情コミュニケーションの特徴を明らかにしたい。
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