1996 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類の知覚的補完に関する比較認知科学・比較発達学的研究
Project/Area Number |
08610082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 和生 京都大学, 文学研究科, 助教授 (80183101)
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Keywords | 知覚的補間 / 時空間的輪郭形成 / 主観的輪郭 / チンパンジー / アカゲザル / ハト / 比較認知 / 錯視 |
Research Abstract |
研究代表者の霊長類研究所から文学研究科への移籍、及び霊長類研究所におけるチンパンジーの出産計画の失敗により、当初の計画を変更して、比較発達学的研究は断念し、以下の研究を実施した。なお、以下のうち、ハトの実験は文学研究科にて、霊長類の実験は霊長類研究所において実施した。1)部分隠蔽図形によるハトとアカゲザルの知覚的補間に関する分析。タッチパネル付きディスプレイに種々の長さの黒い水平線分が提示された。水平線分の長さが「長い」か「短い」かをそれぞれに対応した反応場所をつつく(あるいはそれに触れる)ことで報告する訓練をした。訓練完成後、水平線分の横に灰色の縦長の大きさ長方形を提示し、長方形と水平線分の間のすきまを操作して、それによって「長い」「短い」の報告の割合がどう変化するかをプローブテストで検討している。ヒトの場合には灰色図形が水平線分に接触すると、水平線分の一部が灰色図形の裏に隠れているという認知が生じ、線分の長さの過大視が生じることがわかっている。実験は現在継続中である。2)チンパンジーにおける時空間的輪郭形成過程の分析。画面にランダムに配置されたドットを表示し、円、正方形などの仮想的な図形の内部に入ったドットの色彩を変える。ドットがまばらになると図形の形がわからなくなるが、仮想的な図形を動かして次々にドットの色彩を変化させていくと図形の形がありありと分かるようになる。チンパンジーにまず5種類の充実幾何学図形の見本あわせを静止見本刺激と運動する見本刺激で訓練した後、見本図形をドットで構成される図形に変える。ドット密度を高いものから順に低くしていったところ、1頭のチンパンジーでは一貫して運動見本刺激の正答率が高かった。実験はまだ継続中であるが、ヒトと同じように、チンパンジーもドットの運動によって主観的な輪郭を知覚しているらしいことがわかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Fujita,K.: "Linear perspective and the Ponzo,illusion:a comparison between rhesus monkeys and humans." Japanese Psychological Research. 38(3). 136-145 (1996)
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[Publications] Fujita,K.: "Perception of the Ponzo illusion by rhesus monkeys,chimpanzees,and humans:similarity and difference in the Three primate species" Perception & Psychophysics. 59(印刷中). (1997)
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[Publications] Silberberg,A.& Fujita,K.: "Pointing at smaller food amounts in an analogue of Boysen and Berntson's(1995)procedure." Journal of the Experimental Analysis of Behavior. 66(1). 143-147 (1996)
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[Publications] Fujita,K.,et.al.: "Diserimination of macaques by macaques:the case of Sulawesi species." Primates. 38(印刷中). (1997)