1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610086
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
多屋 頼典 岡山大学, 文学部, 教授 (80033356)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 芳樹 中国短期大学, 幼児教育科, 教授 (60199099)
|
Keywords | 意図的行動 / 乳児 / 脚けり / 注視 / 随伴性強化 |
Research Abstract |
Piagetが第2次循環反応と呼んだ「意図的行動」がいつ頃kらどのような仕方で発生してくるものかについて検討した。 1.意図的行動はおよそ4カ月半頃から始まるというPiagetに対して、Roveeたちは2,3カ月の乳児でも自分のキックによってモビールが揺れることを知ると盛んにキックするようになったし、1度このことを覚えると当分は忘れない、と報告した。しかし私たちはこの反応だけでははまだ第2次循環反応とは呼べないことを指摘した。 2.私たちはキックすると頭上のガラガラが揺れて音をたてる条件で、同じく2,3カ月の乳児のキック反応を観察した。Roveeたちの報告では指標として専らキック回数だけが取り上げられているが、これには強化期と非強化期を識別している様子が現れていなかった。しかし私たちの乳児は、強化期にはガラガラをしっかりと見据えて嬉しそうにク-イングをしながらながらキックをしていたのに対し、非強化期には落ちつき無くあちことをキョロキョロ見回し、むずかり声を発しながら、キックしていた。セッションが進むにつれてキックにはガラガラの音が生じるのに必要な強度の調製もできるようになり、乳児は随分詳細に状況を把握していることが示された。 3.新生児が外界をコントロールしようとする意図自体はここで取り上げた2,3カ月の時代より更に早い時代からあるのに、ただそれを実現する反応レパートリーが制限されていて表現できないだけのことかもしれない。意図的行動は注視時間やヒット率を指標にしてよければ2,3カ月の時代に既に始まっているといえるだろうし、「注視+サッキング」を指標にするなら1カ月児でもキック反応を用いたときの2,3カ月児の水準の行動を示すことができるらしい(Kalnins and Bluner)。 4.注視は大変早期から条件変化に柔軟に対応して変化する行動であることが確かめられた。注視するだけではガラガラは音をたてないから、これを直ちにキックと同種の意図的行動と考えることはできないにしても、今後の実験でその水先案内役を果たすものとして位置づけることができるのではないか、と示唆された。
|