1997 Fiscal Year Annual Research Report
親による子どもの感情認知と親子の相互作用の検討-I FEEL PIUTURE TESTを用いて-
Project/Area Number |
08610105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
庄司 一子 筑波大学, 教育学系, 助教授 (40206264)
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Keywords | I Feel Picture Test / emotional responsibility / cognition of facial expression / mother-infant interaction / experience of birth |
Research Abstract |
<目的>Emde(1988)は母親の子どもの感情を読みとる能力を感情応答性とし、母子の相互作用を促進するものとして指摘した。平成8年度は母子相互作用を観察記録し、I feel picture testとの関連性を検討した。その結果、抑うつの高い母親ほど写真図版に対して感情的に彩られていない反応を示すという結果が得られた。このときの面接から母親の出産経験も育児に影響を及ぼすことが予測された。これより平成9年度は母親の出産経験についての調査を実施し、育児との関係を検討する先行研究とすることを目的とした。 <方法>調査対象:0歳から12歳までの子どもを持つ母親87名。年齢は24歳〜44歳で、平均年齢は34歳であった。子どもの数は1人から5人までで平均は1.94人であった。 調査内容:調査の内容は、出産前の出産に対する気持ち、準備、出産に対する態度、初めての出産出産の捉え方、育児への影響などについて自由記述によって回答を求めた。 <結果>母親にとって出産は、不安と期待を持たせるものであること、出産後もさまざまな影響を及ぼすことが明らかにされた。まず、出産前は不安と心配の訴えが最も多く、逆に期待をもつとの回答も30%程度見られた。知識は本や雑誌などから得、またアドバイスは母親や友人、姉妹が多く、医師や助産婦と答えた者は10%にも満たなかった。出産体験者は母親の育児や人生観にさまざまな影響を及ぼしており、子どもへの愛情、命に対する責任、親としての自覚ばかりでなく、夫や母親自身の親との関係にも変化を生じさせるものであることが明らかにされた。ただ、出産体験に関しては満足と不満足が二分されており、これが出産体験と育児、ひいては子どもとの相互作用にどのような影響をもたらすかが今後の課題となった。
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