1998 Fiscal Year Annual Research Report
親による子どもの感情認知と親子の相互作用の検討-I FEEL PICTURE TESTを用いて-
Project/Area Number |
08610105
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
庄司 一子 筑波大学, 教育学系, 助教授 (40206264)
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Keywords | I Feel Picture Test / emotional responsibility / cognition of facial expression / mother-infant interaction / experience of birth / maternal education |
Research Abstract |
<目的>Emde(1988)は母親の子どもの感情を読みとる能力を感情応答性とし、母子の相互作用を促進するものと指摘した。平成8年度はI feel picture testへの反応と母子相互作用を実験的に観察記録した。その結果母親の抑うつと図版への反応、子どもとの関わりが相互に関連していることが明らかにされた。平成9年度は母親の出産経験についての調査を実施し、出産前は不安と同時に期待を持つこと、知識や助言は本や雑誌、身近な人から得ており、出産体験は母親の育児や人生観にさまざまな影響を及ぼしていることが明らかにされた。平成10年度は出産体験、I feel picturetestへの感情応答性、母親の子育てを通しての成長と子どもへの意識の変化との関連を明らかにすることを目的とした。 <方法>調査対象:4歳から11歳までの子どもを持つ母親5名。年齢は35歳〜41歳で、平均年齢は39.25歳であった。各母親の複数の子どものうち一人は障害を持つ子どもであった。子どもの数は2人から3人までで平均は2.8人であった。 調査内容:I feel picture test図版、はじめての出産と育児に関する調査、SDS。<結果>今回調査に協力してくれた母親は、障害をもつ子どもを抱えながらも抑うつ傾向は低く精神的に健康な母親であった。I feel picture test図版に対する感情反応は豊かで、感情の読みとりは一人っ子の幼児の母親たちより適切であったと言える。その理由として1)子育てのキャリアの豊富さ、2)障害を持つ子どもとそうでない子どもを持つことによって子どもを見る視点が複数あること、3)抑うつ傾向が低かったこと、があげられた。インタビューによって明らかになったことは、母親にとって出産がはじめての場合は一人目の子育てに影響する可能性が高いが、二人目以降は子育ての大変さ、子どもの障害や状態によって母親が共に揺れ動き、変化していく過程であることが明らかにされた。
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