1997 Fiscal Year Annual Research Report
孤独感を低減させる社会的スキル訓練の効果に関する実験社会心理学的研究
Project/Area Number |
08610112
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
相川 充 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (10159254)
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Keywords | 孤独感 / 社会的スキル訓練 / 非言語的コミュニケーション / ロールプレイ / UDLA孤独感尺度 / レンズモデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、孤独感の高い人達に社会的スキルを獲得させる訓練を行い、この訓練が孤独感低減の効果を持つかどうかを実験社会心理学の観点から検討することである。昨年度、実際の社会的スキル訓練を実施する実験群と、訓練をするように見せかけるが訓練は行わない統制群を設定し、両群の孤独感を比較検討した 本年度は、訓練効果の持続性を確かめるために、フォローアップ・データを取った。訓練から約半年後、実験参加者に、再度、UCLA孤独感尺度、自尊心尺度、セルフ・エフィカシ-尺度に回答を求めた。また、社会的スキル訓練の効果を測定する尺度を構成し、それへの回答も求めた。その結果、孤独感に対する訓練効果は持続していたが、統制群の孤独感にも自然減少が認められ、実験群と統制群の間に有意差は認められなかった。自尊心、セルフ・エフィカシ-は、訓練前、後、フォローアップ時と、ほとんど変化しなかった。また、訓練効果尺度の結果は、会話スキルの中でも「誉め方」に訓練効果があったことを示していた。 このような結果から、孤独感の低減をめざした社会的スキル訓練を行うには、どのような行動を訓練対象とすべきなのかについて、基礎的、実証的データを得る必要性を痛感した。そこで、改訂版レンズモデル(Gifford,1994)の枠組みを用いて、孤独感の高い人の対人場面での言語的・非言語的行動をビデオにとって分析した。その結果、孤独感の高い人が示す「相手に対する質問の少なさ」と「不機嫌な表情」が、孤独感の記号化と解読に特に寄与していた。社会的スキル訓練を実施する際には、これらの行動を訓練対象とすべきことが示唆された。
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