1997 Fiscal Year Annual Research Report
不登校対策における教育者サイドと治療者サイドの相互理解と有効な連携の道を探る
Project/Area Number |
08610121
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
菅 佐和子 京都大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (10131244)
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Keywords | 不登校対策 / 教師 / カウンセラ- / 連携 / アンケート調査 / 面接調査 |
Research Abstract |
1 本研究の目的 学校外の種々の治療・相談機関に所属するカウンセラ-が、不登校事例を担当した際に、教師との関係についてどのような体験を有し、それに対してどのように感じたり考えたりしているかを調査する。そして、昨年度に施行した教師を対象とする同様の調査結果と比較・検討することで、有効な連携のポイントを浮き彫りにすることを目指す。 2 調査対象および方法 被調査者は、不登校事例を10例以上担当した経験をもつカウンセラ-20人(内訳 男:5人 女15人)。調査方法は、個人または小グループによる面接法、所要時間は、30分〜50分程度。なお、各カウンセラ-の学派・立場については特に限定せず.来談者中心療法・精神分析、コング派等が混在。 3 結果と考察 面接のなかで語られた内容を整理・分類したところ、A群〔連携がうまくいった体験〕B群〔カウンセラ-と教師の感覚のちがい〕C群〔教師の責任感やプライドについて〕D群〔教師と保護者の板ばさみ〕E群〔精神病理についての教師の理解不足〕F群〔学校のシステムについて〕G群〔望ましい教師の条件〕という7群に大別された。 昨年度の教師を対象とする調査結果と照合し検討したところ、両者とも連携の必要性を認識しており、専門性のちがいからくる感覚のちがいを理解しあうために、相手の立場にたてて物を見る努力や、話し合いの回を重ねることの大切さが浮き彫りにされたといえよう。本調査を通して、教師の多忙さやカウンセラ-の数の少なさ等の根本的な問題が、教師の側から切実な訴えとして提起されたことは、特記すべきことと考えられる。
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