1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610130
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤森 進 岡山大学, 教育学部, 助教授 (00173477)
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Keywords | 項目反応理論 / 算数学力 / 等化 / 同時尺度調整法 / テスト / EMアルゴリズム |
Research Abstract |
本年度は、複数のテスト版が複数の集団に実施された場合の尺度の等化研究を進展させた。等化とは、異なるテスト結果を比較可能にするために行われる項目母数・能力母数の推定値の調整作業である。研究の主たる目的である算数・数学の到達度水準について検討を加えるために行われる算数・数学学力の共通尺度の構成に際しては、このような等化を行なう必要がある。昨年度は、ベイズ推定によりテスト項目と被験者学力の母数の推定を行なったが、ベイズ推定には母数に関する事前知識が必要となり、その設定が問題となる場合も考えられる。このためベイズ推定の代わりに、Bock&AitkinのEMアルゴリズムを用いて項目母数を推定する方法について検討した。ただし本研究のテストデータは、複数のテスト版を複数の集団に実施したものであり、各版とも共通項目は必ずしも難易的に隣り合った版に存在するだけでなく、隔たった版にも存在しているという等化作業における困難さが存在する。また本研究で扱う算数学力では、学力平均の学年差が想定される。このような事情を考慮すると学力差のあるデータにおける等化、すなわち垂直的等化と、項目母数・能力母数の推定と同時的に行なう同時尺度調整法が本研究データには適していると考えられたため、これをシミュレーションにより検討した。その結果、テストの版数が2の時、被験者数が1500人と3000人の結果に差は余りなかった。また共通項目数が増加するにつれて等化の成績は良くなった。更に、一般的に各集団の母平均の差は、やや過小に推定された。この過小推定は、各集団の能力母数の母集団平均が固定されていたことによる可能性もある。このため、研究の最終年度に向けて各集団の能力母数の母集団平均の推定・更新を行う方法を更に検討し、良好な推定成績が選られた場合には、これにより全母数の推定を行なうことにした。
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Research Products
(1 results)