1996 Fiscal Year Annual Research Report
共同想起事態における符号化時と検索時の視点の違いと記憶成績との関係
Project/Area Number |
08610142
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
高橋 雅延 聖心女子大学, 文学部, 助教授 (10206849)
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Keywords | 共同想起 / 視点 / 偶発学習 |
Research Abstract |
1.研究目的 大学生を対象に、物語文を偶発的に学習させた後、(一人で想起する)個人想起事態と(二人で想起する)共同想起事態を設け、次の2つの観点から検討した。 (1)共同想起は個人想起より想起成績が優れるのか? (2)共同想起を行うことによって、個人想起では想起できない情報が想起されるのか? 2.方法 物語文を偶発的に学習させた直後に、全員に個人で偶発再生を行わせた。引き続いて、個人想起条件群の被験者には、もう一度、個人で再生を行わせた。これに対して、共同想起条件群の被験者には、個人再生に引き続いて、二人一組になって話し合いながら共同で再生を行わせた。 3.結果 (1)共同想起は個人想起より再生成績が優れることが明らかになった。 (2)共同想起を行っても、個人想起では想起できない情報は想起されないだけではなく、むしろ個人のパフォーマンスが抑制されることが明らかになった。 4.考察 先行研究の結果と併せて考えると、共同想起の直前に、個人再生を行うことが、個人に特有な視点に合った記憶内容を強化(確認)することに役に立ち、共同想起の優秀性が現れることが示唆された。一方、共同想起によって個人のパフォーマンスが抑制されるのは、他者の再生した記憶がリスト内手がかりの抑制効果のように働くこと、集団になることによって個人が最大限の再生努力を行わなくなる社会的手抜きなどが考えられる。
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