1997 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの精神保健にかかわる「説明と同意(インフォームド・コンセント)」のあり方
Project/Area Number |
08610143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
村瀬 嘉代子 大正大学, 人間学部, 教授 (70174290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 直文 大正大学, 人間学部, 専任講師 (50266219)
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Keywords | 「知る権利」 / 心理療法 / 「説明と同意(インフォームド・コンセント)」 / 臨床領域 / 精神保健 / 子どもの最善の利益 |
Research Abstract |
本年度は、まず「説明と同意」をキーワードに内外の文献を検索し、討議した。しかし、子どもに対するものとなると皆無に近かった。 また、3名の外部講師による、講義をもとに合同討議行った。それぞれの立場からみた「説明と同意」についての講義はわれわれの研究に多く示唆を受けた。その講義録の一部は「大正大学カウンセリング研究所紀要21」に掲載予定である。 また具体的治療場面において「説明と同意」が問題になった局面について、研究者それぞれが関わった多数の事例について検討を行い、その諸相を規定する要因について一覧表に整理した。その結果については後日発表予定である。しかし、「説明」による「同意」は決して一つの正解に収斂するものでなく、分類表の枠に収まりきれないことも改めて浮き彫りになってきた。この事例検討を中心とした研究は今後も続けていく予定である。 次に千葉県下の言語指導教員に、生徒に対する「説明」と「同意」について自由記述を中心とする質問紙調査を実施した。質問項目は(1)言語治療教室についてどのように説明しているか(2)生徒に学期の目標についてどのように説明しているか(3)生徒から自分の状態について尋ねられたことはあるか(4)子供が自分の状態について意識的に考え始めるのはいつごろだと思うか。(5)生徒が自分にとって辛い事実を受け止めていくためにはどういう配慮が必要か。(6)言葉というものを人間生活のなかでどのように位置づけているか。の6項目である。結果については現在整理中である。この調査は今後様々な領域の専門家に対する質問紙調査をする際の予備調査として活用したいと考えている。 以上のように方法的にも多方向でかつ多方面にわたる検討を重ねる中で、徐々に問題が明らかになり、整理されてきている。今後はこれまでの研究成果をもとに焦点を絞った調査を行い、研究を続ける予定である。
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