1997 Fiscal Year Annual Research Report
視覚障害者高等教育におけるテキストと図教材に関する認知心理学的研究
Project/Area Number |
08610159
|
Research Institution | TSUKUBA COLLEGE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
加藤 宏 筑波技術短期大学, 一般教育等, 助教授 (50177466)
|
Keywords | 視覚障害 / 高等教育 / 触図認知 / 感覚代行 / テキスト理解 / 外的資源 / 教材メディア / センター入試 |
Research Abstract |
1.視覚障害を持ち高等教育に学ぶ学生を対象にその触図使用の実態を調査した。被験者には筑波技術短期大学および他1大学の計40名であり、点字使用10名、弱視30名であった。その結果触図は視覚障害学生にはあまり活用されていないことが明らかになった。このことが教科の高度な専門性などの高等教育特有のものなのか、あるいは大学での教授法の問題なのか、または触図というメディアの限界を示すものなのであるかを確認するため盲学校での触図教育の実態調査を実施する事にした。 2.全国70の盲学校に触図教育に関するアンケートを依頼した(1997年7月)。52校114名の盲学校教諭からの回答を得た。高等教育での指導と大きく異なるのは触図を配布するだけでなく、個別に指導している実態が明らかになった。しかし、一方では触図化される図は地図や単純な図形に限られ、大学等の教科書に現れる多様かつ複雑な図は用いられていないことも分かった。盲学校のような指導をしても高等教育教材レベルの図を触図にすることにより、その内容を理解させることができるかの問題は残った。 3.高等教育レベルに近い内容の図として、センター入試試験における図資料の視覚障害者への対応を調査した。結果はセンター入試では図や写真は削除、言語による説明、簡略化などの様々な代替化が行われていることが分かった。高等教育機関でも図教材を触図化するだけでなく、代替化を積極的に取り入れる必要が示唆された。このデータについて現在データベース化作業を進めている。 4.上記の結果を第10回国際視覚障害者教育会議(サンパウロ市)にて発表した。 5.テキスト理解のための外的資源としての図の特性の認知研究を次年度以降に予定している。
|